財務省の研究会によると、日本企業が海外進出しても、その結果の利益が日本に還元されない可能性があることが明らかになった。
財務省の「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」では、中長期的な視野の下で、日本企業の財・サービス取引や、対外ポジション、日本企業をとりまく内外の資金フローについての現状分析と今後の課題の探索を実施していた。
第7回目の会合が、4月25日に開催されており、学習院大学/財務総合政策研究所特別研究官と横浜国立大学の者から【第一次所得収支は還流しているのか?ーインドネシア視察報告からの考察ー】との報告が行われていた。
この報告では、「配当が日本に戻らない理由」は、『日本企業の組織は、トヨタのように本社中心で本社に資金を集めてR&Dをやる企業もある一方で、地域ごとの分散を図り、地域ごとに再投資を行っていく、例えばアジアの場合にはシンガポールやタイに地域統括拠点を置き、本社ではなくそこに資金を集めるという傾向がでてきた』『企業は現地法人からの配当性向よりも、連結全体としての利益、ROEを重視しており、例えば金融機関が海外に進出すれば、日本に資金は戻さずに再投資するのが現実的である』『インドネシアで再投資したほうが、将来確実にリターンを上げることができる。東南アジアのGDPの4割を有し人口も多い現地でできるだけ蓄積して、現地で再投資したい。この10年間で当初の期待ほど利益が上がっていないため、まだ親子ローンの返済のみで配当を通じて日本に資金を還流させることができない(中小企業に多い)』などをあげている。
「日本にお金の流れが還流するため何が必要なのか?」は、『円を使う需要を高める』『円を保有するインセンティブを高める』『日本国内での投資(研究開発投資等)の増加』『現地での規制の影響』などをあげている。