在ベトナム日本大使館は、多くのベトナム人技能実習生が日本で働いているが、現状では不法残留者数、技能実習生の失踪者数、刑法犯検挙件数のすべてでベトナムが1位となっているため、これらのことを防ぐために企業への要請を行った。
在ベトナム日本大使館によると、ベトナム人労働者は急増しており、中国の42万人に次いで2番目に多い40万人となっている。急増の主な要因は技能実習生であり、技能実習生全体の半分以上をベトナム人が占めている。この増加に伴い、不法残留者数、技能実習生の失踪者数、刑法犯検挙件数のすべてでベトナムが1位となっており、在留ベトナム人の増加を差し引いて考えても、ベトナムは他国と比して上記の指標が高いと言わざるを得ない状況となっているとしている。この原因の一つとして、送出機関による手数料などの過大徴収が技能実習生の失踪の原因ともなり得るとしている。技能実習生の失踪などを招く要因は、ベトナム側と日本側双方にあるためきめ細かい対応が必要であり、ベトナム国内の規定に従えば訪日費用は50万円程度に収まるはずであるが、高額の訪日費用負担がベトナム人技能実習生の失踪リスクを高めている可能性があるとしている。
そのため、在ベトナム日本大使館は、ベトナム人技能実習生の受入れに際して企業への要請を行った。この要請によると、 ベトナム人技能実習生は、多くの場合、「日本で職業スキルを身に付けたい」、「家族の生活をより良いものにしたい」という夢を持って訪日しており、初めから失踪や犯罪をするつもりで訪日する技能実習生はいないとしている。そのため企業に対しては、法令を遵守し適切な労働条件を確保してもらうことはもとより、これらベトナム人技能実習生の思いに寄り添ってもらうことで、多くの失踪などを防げるものと考えている。
しかしながら、企業に上記の取組をしてもらっても、高額な借金を背負って訪日した場合は、「もっと稼げる仕事がある」という誘惑に駆られやすくなり、失踪や犯罪のリスクが高くなってしまうとしている。このような失踪や犯罪は、技能実習生本人にとっても不幸なことであるが、受入企業にとっても人材確保コストを押し上げるだけではなく、コンプライアンス上の問題にもなりかねないとしている。そのため、ベトナム人技能実習生を受け入れている企業に対しては、より適切なルートで技能実習生を受け入れるように要請している。