フィリピンでは大統領選の投票が9日から開始されていたが、ロドリゴ・ドゥテルテ氏が新しい大統領に就任することが確実のものとなった。
フィリピンの選挙管理委員会によると、10日午前3時の開票率が88%の時点で、ロドリゴ・ドゥテルテ氏(Rodrigo Roa Duterte)の得票率が38.65%、次点のマヌエル・ロハス氏23.16%がとなった事を発表した。これにより、ロハス氏が残りの票を全て獲得してもドゥテルテ氏に届かない事から、ドゥテルテ氏の当選が確実なものとなった。
今回の大統領選は、実質的にダバオ市のロドリゴ・ドゥテルテ市長、マヌエル・ロハス前内務・自治相、グレース・ポー上院議員、ジェジョマル・ビナイ副大統領の4者で争われていた。当初は清廉潔白のイメージを軸としてグレース・ポー上院議員が優勢にたっていたが、過激発言を繰り返すドゥテルテ氏の攻勢を受けきれずに、票を奪われていく一方であった。現任のアキノ大統領は、ドゥテルテ氏が大統領に就任した場合には、フィリピンの政治・経済の両面に多大な悪影響を与える可能性が極めて高いと判断したことから、対ドゥテルテ包囲網として、グレース・ポー氏とマヌエル・ロハス氏を一本化させる事を検討していたが、この試みは失敗している。
新しく大統領に就任するロドリゴ・ドゥテルテ氏の政治方針は、アキノ大統領と異なり親中であり、南シナ海問題に関しても中国政府との話し合いと経済協力で解決するとしている。他国との関係構築方法も、「フィリピンに害をなす国は全て滅ぼす」などの発言を繰り返していることから、強硬的な立場で向かうとみられている。
日本との関係でみると、親日派であるアキノ大統領が日本政府との友好関係を深め、天皇陛下のフィリピン訪問を実現した立役者であったが、ドゥテルテ氏は親中派であり日本との関係は重視していないため、日本との友好関係がどうなるかは不明である。経済面では、フィリピン人の看護師候補者を日本に受け入れ、日本の製造メーカーのフィリピン進出などの幅広い相互協力を進めていたが、これらの協力体制も停滞する恐れがある。
新大統領の就任式は6月30日となり、任期は6年となる。
アセアン10カ国情報










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