日本政府は警察庁・外務省・JICAなどと協力し、政府開発援助(ODA)などによりインドネシアの警察機関への支援を実施していた。近年のインドネシア警察では、市民に親しまれる警察を目指し女性警察官の採用を増やしている。そのため、女性の幹部候補を早急に育成する必要があることから、JICAは昨年の2014年12月に5日間の女性の幹部候補を育成するための研修を2回にわたり実施したことを発表した。
インドネシアでは1998年に長年続いたスハルト政権が崩壊し、民主化改革の一つとして2000年に国家警察が国軍から正式に分離独立し、独立して治安責任を負うこととなった。しかし、軍隊としての行動規範が強く根付いていたため、本来の警察としての臨機応変の活動が出来ず、治安活動に支障が生じていた。
そのため、日本政府はインドネシア警察からの要請を受け、組織構造および意識改革を実施するための、インドネシア国家警察改革支援プログラムを提供していた。このプログラムではインドネシア警察の幹部職員を日本に招待し研修を実施した。
これらの支援活動の結果、インドネシアでは日本の公番制度の仕組みを導入しており、2005年にはJICAが支援プロジェクトを実施しているブカシに、女性警察官だけが駐在する交番を設けるなどの女性の活用を試みている。
今回の研修には、日本の女性警察官も講師として参加し、心理学やメンター技術などの講義に加え、現場実習、現場警察官との座談会などの構成で、5日間にわたって実施された。これらの講義の際には、警察活動で女性警察官がどのような役割を担うべきか、などの女性警察官としての重要性についても具体的なアドバイスも行われた。
今回の研修を受けた参加者からは「メンターとして自分自身が模範にならなければならないことを意識した」などの意欲の高まりをうかがわせる声が聞かれた。
JICAは、今後もインドネシア警察と連携しつつ、市民警察活動を全国に展開していく上で必要な支援を進めていくことを表明している。