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フィリピン政府は中国政府と南シナ海の領有権を争い、この問題を常設仲裁裁判所に提訴していたが、フィリピン新大統領は結果が判明する7月7日頃までは一切の議論を行わない方針である事を表明した。
フィリピン政府では、南シナ海で中国政府が同意を得ない開発を進めていたために、2013年にオランダのハーグ常設仲裁裁判所に提訴していた。常設仲裁裁判所では、フィリピン政府と中国政府の両政府を招集し両国から状況説明を行うよう要請していたが、中国政府は召集に応じずに実質的なボイコットを行っていた。また中国政府では、この問題は当事国のみで話し合うべきであるとし、常設仲裁裁判所の結果には従わない事を明言していた。
この裁判の結果が7月7日頃に判明するが、6月30日に就任するロドリゴ・ドゥテルテ新大統領は「常設仲裁裁判所の判決が間もなく判明します。判決が明らかになるまでは、この問題を議論するのを止めましょう。私は判決結果により、政府や軍との話し合いを行い、適切な対応を行います。」と述べた。これは、常設仲裁裁判所がフィリピンに有利な判決を行う事がほぼ確実な状況であり、判決前に過激な発言や議論を行い判決結果が変更されるのを防ぐ事を狙いとした発言とみられている。ドゥテルテ氏は中国政府からの鉄道供与により南シナ海問題を棚上げする可能性がある等と述べていたが、常設仲裁裁判所の判決を受けて、どの様な対応を行うか注目が集まっている。