フィリピンでは国民の8割以上がキリスト教徒であるが国内にイスラム教徒を抱えており、ミンダナオ地方においてはイスラム過激派との紛争が続いていたが、昨年の3月に包括和平合意文書が調印されたことにより、和平を進めている。この和平の状況を確認・推進させるために、フィリピンのアキノ大統領とイスラム協力機構(Organisation of Islamic Cooperation(略称:OCI))は20日に会談を実施したことを発表した。
イスラム協力機構とは、イスラム教徒を多数抱える国をメンバーとして構成し、国際連合をはじめとした国際社会に向けて、イスラム教への偏見・抑圧に反対すること、参加国内における連携を深めることとなどを目的として結成された団体である。アセアンでOCIに正式に参加している国は、マレーシア(1969年参加)、インドネシア(1969年参加)、ブルネイ(1984年参加)であり、オブザーバーとしてタイ(1998年参加)も参加している。
この発表によると今回の会談では、OICの事務局長がフィリピンのマラカニアン宮殿に訪れ、フィリピンのアキノ大統領と、現在の和平プロセスの状況について話し合われた。OICの事務局長は、フィリピン政府の現在の和平プロセスの進め方・対応を支持し、紛争を解決させるためには、あらゆる形での支援を惜しまないことを表明した。
包括和平合意文書が調印された後も、フィリピン政府と反政府イスラム系武装勢力のモロ・イスラム解放戦線(MILF)およびモロ民族解放戦線(MNLF)とは武力衝突が発生しており、国民からはこの和平プロセスが実質的に無効化されるのではという不安な声が多数挙がっていた。これらの不安の声をかき消すためにも、フィリピン政府とOCIは国民に向けて和平プロセスは順調に進んでいることをアピールしている。