株式会社東芝は、東芝の若き技術者たちの紹介として、フィリピン出身の二名の社員が、鉄道システム技術部でセールスエンジニアとして働いていることなどを紹介した。
東芝の見解によると、20世紀後半は日本では「国際化」という言葉が社会や文化だけでなく人々の生き方にまで影響を及ぼしており、21世紀に入り「ボーダーレス」という言葉とともに国境を越えた人や物の流れは当たり前のこととなり、そして現在「多様性」という言葉は、人間が地球規模で考えられるほどに成熟した文化を獲得しつつあることを表しているのかもしれないとしている。そのうえで、フィリピン出身の二名の社員を紹介している。
一人目は、東芝インフラシステムズ株式会社 鉄道システム事業部 鉄道システム技術部で、セールスエンジニアとして勤務している社員を紹介している。この社員は、「東芝に興味をもったきっかけは、大学で行われるリクルートプログラムで、東芝のプログラムに参加したことでした」として、「入社のために日本に来るまで、一度もフィリピンを出たことはありませんでした」と述べている。この社員の大学時代の専攻は材料工学であり、現在は鉄道システム技術部門の海外担当として、主に鉄道用の変電所向けの設備機器を取り扱っている。今では日本語に不自由することもなく、日本での生活を楽しんでいるというが、入社当時に苦労した点として、電気工学をゼロに近い状態から勉強したことと、日本語は完全にゼロの状態からスタートしたので最初の頃は非常に大変だったとしている。ただ、日本に来た当初は東芝で働くフィリピン人のコミュニティに、あらゆる面で助けてもらい、母国語で話せることに大きな安心感を得られたのを今でも覚えているとしている。
二人目は、同じ鉄道システム技術部の同僚を紹介している。この二人目の社員は、一人目に紹介した社員の頼れる同郷の先輩であり、こうした同郷の後輩を応援するシステムは東芝社内に昔から連綿と続いているとしている。それはフィリピン出身者だけでなく、他の国の出身者も同様であり、人類が目指す多様性の中、日本も含めた国境を越えた互助の輪となっているとしている。このフィリピン出身の社員は、自らのフィリピン人としてアイデンティティーが、常に自分の進むべき道を示しており、「私が担当する鉄道電力システムでは、非常に幅広い製品を扱っています。ですので、もっと多くの製品にかかわって、より深く、より幅広い技術を身につけ、世界で通用する鉄道変電技術のエキスパートになりたいと思っています」と述べるとともに、「フィリピンは、慢性的な交通渋滞により、鉄道の重要性が非常に高まっています。鉄道技術をはじめとする東芝のソリューションでフィリピンに貢献するのが、近い将来の私の夢です。これは入社時から変わらない気持ちであり、先の世代のことを見据えてそういう未来を思い描いています」と述べている。