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日本の独立行政法人である国際協力機構(JICA)は、ミャンマーの食の安全性に着目して「儲かる農業」の実現に向けた園芸作物バリューチェーンを強化する支援を実施することを発表した。
ミャンマーでは、国民の約6割が農業分野に従事しており、GDPに占める農林水産業の割合は約3割であるが、農業が主要産業である農村部の貧困率は23%と、都市部の9%より高く、都市・農村間の格差が生じており、これに対応するため農業の生産性向上と農産物の付加価値向上を通じた農家の所得向上が求められていた。農村部の所得向上に向けた課題としては、営農の知識や技術の不足に加えてミャンマーでは主に小規模農家が多くを占めており、かつ農民の組織化が進んでいないため中間流通業者等との価格交渉力を持たないことなどが挙げられる。また、栽培段階における農薬の過剰投入による国民の「食の安全」に対する脅威も高まっていることから、行政官と農民の農薬管理能力や適正使用に係る知識の向上も喫緊の課題となっていた。そのため日本政府は、これらの問題を解決させるための支援を実施することを決定した。
今回の支援は、「園芸作物の安全向上によるバリューチェーン構築プロジェクト」として、48ヵ月にわたって実施される予定である。支援を実施する機関は農業畜産灌漑省計画局、農業局、植物防疫局、ミャンマー果物・花き・野菜生産者・輸出者協会となり、対象となる地域は、ヤンゴン地域モービータウンシップ、シャン州カロータウンシップとなる。この支援では、食の安全性を含めた市場の需要に応える質の高い園芸作物の生産、流通、マーケティングの技術指導および政府の体制強化支援を行う。