インドネシアは南シナ海の領有権問題は中立を保つ-中国の高速鉄道受注により

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画像提供:アメリカ政府
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インドネシアのジョコ大統領と米国のオバマ大統領はホワイトハウスで10月26日に会談を行い、「米国・インドネシア共同声明(Joint Statement by the United States of America and the Republic of Indonesia)」を発表した。

共同声明では「パートナーシップ強化」「海運協力」「防衛協力」「経済成長・開発」「エネルギー協力」「グローバル・地域問題の協力」などについて言及された。声明の冒頭では、両国は民主主義を採用し人権の尊重や平和の推進を行っている国家であり、両国の関係は2010年に合意した包括的パートナーシップにより強化されていることからも、今後も両国は関係強化を行う事で合意している。
「パートナーシップ強化」に関しては、両国は共通の利益に関しては共同で問題に対処していく事で合意した。
「海運協力」に関しては、両国は海上の安全保障・経済・資源に関しての重要性の認識を共有し、幅広い分野における協力を強化していく。また、二国間の貿易の自由化を進めるために、インフラ投資の促進を行う。
「防衛協力」に関しては、平和維持・人道支援・災害救援・防衛共同研究開発などに関する協力を進めていくことで合意した。
「経済成長・開発」に関しては、双方向の貿易・投資を促進させるため、知的財産の保護などを促進し透明性の高い経済政策を策定し、経済成長を促進していくことで合意した。

注目されていた南シナ海の領有権問題に関しては、中国の名指しを行わずに、領有権に関する問題は平和的に解決すべしという認識で合意する事までとなった。インドネシア政府は、中国との経済的な関係を深めていることもあり、従来から南シナ海の領有権問題では態度を明確にしていなかったが、今回も中立の立場を崩していない状況である。

中国と南シナ海の領有権問題で争っているベトナムとフィリピンは、中国を名指しして激しく争っており、特にフィリピン政府は国際仲裁裁判所に提訴するなどの対策を行っている。隣国のマレーシアとインドネシアではこの紛争に巻き込まれることを恐れて立場を明確にしていなかったが、インドネシアは高速鉄道を中国政府が受注したことにより、南シナ海の領有権問題においては今まで以上に中国政府への批判を行えない状況となってしまっている。特に今回の受注はインドネシア政府の保証無しでの受注であるため、高速鉄道の完成には中国政府の意向が大きく影響するため、南シナ海の領有権問題でインドネシアが反中となった場合には、高速鉄道の建設中止・凍結などの報復措置が行われる可能性が高いためである。

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