公賓として来日したベトナムの最高指導者であるグエン・フー・チョン・ベトナム共産党書記長と、安倍晋三首相は9月16日に首相官邸で日・ベトナム首脳会談・署名式・共同記者発表を実施し、安全保障・経済協力などの分野で関係を強化する旨の共同声明を発表した。
両首脳は、安全保障分野では、南シナ海でベトナムおよびフィリピンと領有権を争っている中国を念頭として、名指しは避けたが、南シナ海で現在発生している大規模な埋め立てや拠点構築などによる現状変更を行おうとしている一方的な行為に関しては、両国間において懸念を共有していることを確認した。また、ベトナムから支持を得ている日本の積極的平和主義の考えから、今後もベトナムへの安全保障分野の支援を実施していくことも合意した。両国はお互いの国を信頼出来るパートナーであると考えていることからも、今後も犯罪防止・人材育成・金融などの幅広い分野においても関係強化を図る事で合意した。なお、ベトナム政府からの発表では、ニントゥアン2原子力発電所の建設に関しては日本政府との協力関係を強化していく方針であることを発表している。
今回の首脳会談を踏まえて、今後は具体的な取り組みとして以下の3点を実施していく事が決定した。
1.安全保障分野の協力
ベトナム政府からの要望により、ベトナム政府の海上における法執行能力を強化するものとして、中古船の追加供与を決定した。海上保安分野のおける関係は今後も強化していく。
2.インフラ投資の協力
日本はベトナムの成長を後押しするため、質の高いインフラ投資を実施していく。具体的には、港湾および高速道路などのインフラ開発案件を含む約千億円の円借款供与を行う。
3.農業分野の協力
両国の農業産業を発展させるために、両国間における輸出入を促進させていく。具体的には、日本産リンゴとベトナム産マンゴーの輸出を、互いに解禁する。TPPの早期締結に関しても同意した。なお、本件に関しては、当サイトにて以前の8/13のニュース(日本はベトナムへのリンゴ輸出を進める方針)において既に報じている。
共同記者発表の最後に安倍晋三首相は、ベトナムでありがとうございましたという意味の「シンカムオン(Xin cam on)」と述べ、チョン書記長の声明発表後には、両者は晩餐会を楽しんだ。