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フィリピン政府は、国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)に、今年の3月16日付けで条約の加入書をオランダ政府に寄託していたが、6月1日付けでフィリピンにおいてもハーグ条約が有効となるため、日本とフィリピンの間においてもハーグ条約の効力が発揮されることとなる。
このハーグ条約は、国境を越えて子供を強制的に連れ去ることや留置する事を防ぎ、子供の利益の保護を最優先とした国際的な多国間条約である。この条約に参加する事により、各国間における関連する法律が異なる場合にも、円滑に子供の権利を守る事が可能となる。この条約は、1983年に効力が発生してから欧州を中心とした国が参加しており、日本においては参加が遅れ2014年4月1日付けで発効することとなっていた。
このハーグ条約への参加は、2016年4月時点で全世界の93か国のみとなる。アジア地域においては、中国の香港とマカオ、シンガポール、タイ、日本、韓国、スリランカの6か国のみが締約国であり、普及が進んでいるとは言えない状況である。
日本では、日本人とフィリピン人との間で離婚した場合に、子供の親権で争う場合が多く存在していた。従来のフィリピン政府ではハーグ条約に加盟していなかったために、配偶者の同意無く子供をフィリピンに連れ去られた場合でも、子供を日本に連れ戻す事が難しい状況であった。しかしながらフィリピン政府もハーグ条約に加盟した事により、今後は子供の親権を争う際には、従来よりかは円滑に話し合いが進むとみられている。