野上農林水産大臣は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関して、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの考え方に立って交渉に臨んだとの見解を示した。
11月17日に実施された野上農林水産大臣記者会見の際に、記者から「15日に、RCEPが15か国で合意署名に至りました。日本の農林分野への影響と、輸出分野への影響、それぞれについて、評価と課題をお聞かせください」との旨の質問が行われた。
この質問に対して野上大臣は「RCEP協定の交渉に当たりましては、我が国の農林水産業が将来にわたって、国民への食料の安定供給等の極めて重要な役割を果たしていけるよう、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの考え方に立って、しっかり交渉に臨んでまいりました。その結果、日本側の農林水産品の関税につきましては、重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)について関税削減・撤廃からの除外を確保しました。一方、相手国側の関税については、初めてのEPAとなります、中国と韓国については、中国のホタテガイ、切り花、韓国のキャンディー、板チョコレートなど、輸出関心品目で、関税撤廃を確保しております。さらに、本協定によりまして、税関手続ですとか、あるいは衛生植物検疫措置、あるいは知的財産権等に関する統一ルールが定められましたので、全人口の約3割に相当します大きな市場への農林水産品の輸出促進に資する環境が整備をされたものと考えております」との旨の見解を示した。
なお、日本から中国向けの2019年の農林水産物・食品の輸出額は、1,537億円となり、主な輸出品目と全体に占める割合は、ホタテ貝(17.5%)、丸太(7.8%)、アルコール飲料(6.6%)となる。日本から韓国向けの2019年の農林水産物・食品の輸出額は、501億円となり、主な輸出品目と全体に占める割合は、アルコール飲料(12.3%)、ソース混合調味料(6.7%)、ホタテ貝(5.6%)となる。