フィリピンでは、アキノ大統領の任期満了に伴い大統領選挙が5月9日に投開票された。現状では、過激発言を行うフィリピンのトランプ氏ことダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏が優勢とみられている。
今回の大統領選挙では、実質的にロドリゴ・ドゥテルテ氏、グレース・ポー氏、マヌエル・ロハス氏、ジェジョマル・ビナイ氏の4者の争いとなっている。有権者数は約5400万人となっており、即日開票される。翌日の10日には大勢が判明するとみられている。
現状で優勢とみられているのが、ロドリゴ・ドゥテルテ氏となる。ドゥテルテ氏はダバオ市長に就任していた際に「麻薬組織に所属するものや犯罪者などは殺害してでも排除する。」などの過激な発言を行い、実際に治安を劇的に改善させた手腕が評価されている。しかしながら、正当な司法手続きを行わずに犯罪者を殺害させた疑いや、不透明な資金収入・支出がある疑いが多数あるが、これらの点はあまり問題視されていない状況である。また、南シナ海問題で争う中国政府に対しての基本方針も大幅にぶれており、中国政府と協力すると発言した後に、中国政府とは徹底的に争うと発言している。発言に一貫性が無いが、力強い発言に支持者が惹かれているという現状である。
ドゥテルテ氏を追いかけるのが、上院議員のグレース・ポー氏となる。ポー氏は女性であり、国民的俳優の養女であることから、清廉潔白のイメージを軸とした選挙戦を行い、当初は支持率1位となっていた。しかしながら、過激発言を繰り返すドゥテルテ氏に支持者を奪われ、現状では2位の座となっていた。
マヌエル・ロハス氏とジェジョマル・ビナイ氏は、これらの2者に比べて決め手にかけるとして、当選の確立は低いとみられている。
現任のアキノ大統領は、ドゥテルテ氏が当選した場合にはフィリピンに大きな悪影響を及ぼすと判断したことから、【対ドゥテルテ包囲網】として自身の後継者と明言しているマヌエル・ロハス氏と、上院議員のグレース・ポー氏を一本化する事を検討していたが、実現しなかった。アキノ大統領は親日派であり、日本の天皇陛下のフィリピン訪問を実現させた立役者でもあった。ドゥテルテ氏が当選した場合には、現在のフィリピン政府と日本政府の友好関係も大幅に変更するとみられている。