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ヨーロッパではイスラム教徒の数が増加し発言力を強めており、現地の住民から反発を招き問題となっている。日本において現時点ではこの様な問題はあまり表面化してはいないが、ASEAN加盟国ではインドネシア・ブルネイ・マレーシアがイスラム教が多数を占めている事からも、いずれは問題になるかもしれない。この様な現状に対して、イスラム教が国教となっているマレーシアのナジブ・ラザク首相が第57回国家総会を開催した際に、世界的に広まっているイスラム教徒に対する偏見の目に対して懸念を述べている。
ナジブ首相によると、マレーシアにおいては人種や宗教の区別を行う事はしておらず、どの様な人も受けて入れていると述べている。イスラム教徒はコーランの意味を正しく理解し、間違えを起こさず節度ある行動をすべきだとも述べている。また、2020年までに先進国入りをめざすためにIT産業の育成・集積を軸としたMSC(マルチメディア・スーパーコリドー)計画の「ビジョン2020」を実施するにあたっても、コーランの本来の意味を十分に理解したうえで国家全体で結束してあたるべきだとも述べている。
国家の首相がこの様な主張をするのは珍しく、世界的に反発を招いているイスラム教徒の立場を思いやっての発言と考えられる。ASEAN加盟国においてはイスラム教・仏教・キリスト教と様々な宗教が信仰されており、日本と違い国教も正式に定められている関係上、国々の間での宗教の対立も激しくなるかもしれない。日本においては国教が定められていない関係上、直近での争いには巻き込まれないと考えられるが、万が一この争いに巻き込まれた時には政府として毅然とした対応がとれるよう願いたい。