ドゥルヨーダナ像が40年の時を経てカンボジアへ帰還

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近年では国家間にて文化財の返還要求が相次いでいる。文化財の所有権は、正当に購入した文化財か略奪した文化財かなどの様々な観点から争われており、容易に決着がつかない問題である。日本と韓国の間でも仏像などの文化財の所有権の争いが起きており、我々日本人にとっても他人事の問題ではない状況である。アンコールワットで有名なカンボジアとサザビーズ社においても同様な事例が起きていた。

サザビーズ社とは世界最古と言われている国際競売会社であり、近年ではムンクの叫びが2012年5月に芸術作品の史上最高額を更新する約1億2千万ドルにて落札された事で話題となった競売会社である。サザビーズ社がドゥルヨーダナ像を競売にかけようとしたが、その仏像を見つけたカンボジア政府が返還要求をし、2014年6月にカンボジア政府に正式に引き渡される予定である。正式に引き渡される事が決定した事に伴い、ニューヨーク州南部地区連邦検事が主催するニューヨーク市で2014年5月7日にドゥルヨーダナの古代彫像の引き渡し式が開催され、カンボジア政府関係者・ユネスコなどの代表者が参加した。この式でカンボジア政府関係者は、関係者の協力に感謝の意を示すとともに、文化財は正当な所有者のもとに返還されるべきだとの考えを述べた。

今回の騒動に関して時系列に整理すると以下となる。

【1960年代後半】
カンボジアの二十年に渡る内戦の間に様々な文化財が略奪の対象となった。

【1970年代】
ドゥルヨーダナ像は北部のカンボジアでのリモート遺跡にあるプラサート寺院で保管されていたが、この頃に盗難にあったとされている。

【2011年3月】
暫くの間、行方不明となっていたが、サザビーズはアジアウィークの雑誌の表紙に作品を掲載し、
オークションイベントにおいて翌週の月曜日にニューヨークで開催するとした。
オークション日は2011年3月24日に予定されていたが、カンボジア政府がサザビーズに対して
販売の取り下げと彫像の返還を要求する書簡を送り中止された。

【2012年4月】
連邦裁判所へ彫像の没収とカンボジアへの返還を求めて提訴された。

【2013年12月】
サザビーズは裁判所の勧告に従いカンボジア政府にドゥルヨーダナ像を返還する事に同意。

【2014年6月(予定)】
ドゥルヨーダナ像がカンボジアへ到着する。

今回のケースでは約3年もかかっており、文化財の返還には多大なプロセス・期間が必要となるのが一般的である。
日本と韓国の間の争いにおいても、この様に非常に時間がかかる事が予測される。

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