中国はRCEP締結でも日本の水産物の輸入制限へ、中国のルール無視は既に想定されていた

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中国政府は、日本の福島第一原発から処理水が海洋放出されることを受けて、ルールに従って適正に貿易を行う必要がある「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」を締結しているにもかかわらず、輸入制限措置を行うことを発表したが、この事態は既に想定されていたことが判明した。

中国政府では、安全上の理由で日本の10都県からの食品輸入禁止を維持するとともに、7月初旬から税関当局が、日本から輸入されるすべての水産物を対象に放射性物質検査を始めている。この検査には、2週間程度かかるため、事実上の輸入禁止措置に近いものと判断される。北海道では高級な生ホタテを中国に輸入していたが、鮮度な重要な生ホタテは、中国に輸出することが困難となってしまっている。なお、北海道の生ホタテの主な輸出先は、中国となっている。

中国外務省では、これらの対応に関しては、理にかない根拠があるとして、問題がないと主張している。

なお、日本政府は、中国を含む15か国と「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」を締結している。この協定では、適切なルールに従った貿易を行うことが定められている。

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所による、「RCEPをどう見るか:政治学・経済学の研究課題」によると、中国との間の取引が適正に実施されるかとの懸念に関して、識者からは『中国の基本的な対応は、国内法が優先です。自分たちはルール通りやっていると主張するでしょう』『通常は国際ルールに則った行動をとると思いますが、問題は中国の国益、あるいは中国の核心的利益と言われる部分に抵触する時は、国内論理に戻ってしまうということです。中国共産党は、国内ばかりでなく国際社会に対しても「力があり、正しいことを言っているのだから周囲が従うべき」という姿勢を示しています』との主張が述べられていた。

なお、2020年12月に実施された経済産業省の記者会見の際には、記者から中国が自由貿易の枠組みから逸脱したような不当な働きかけがあった場合はどう対応していくかとの質問が行われていたが、特段の対応策は示されていなかった。また、協定の抜け道として、防疫などを理由とした輸入停止措置を行うことも可能との指摘もされていた。

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