日本の外務省は、バングラデシュの小規模農家と同国に避難しているミャンマー・ラカイン州からの人々を支援するため、約5億円の無償資金協力を実施する事を発表した。
バングラデシュでは、農産業は国内総労働人口の47%を占め、GDPに占める割合は16%を占め重要産業の一つであるが、貧困層のうちの小規模農家では換金用のみならず自らの食用にも十分な生産量を確保できていない状況である。また、このバングラデシュの南東部コックスバザールでは、2017年8月以降からミャンマー・ラカイン州から避難民の大規模流入が発生しており、現在では約100万人もの人々が避難生活を余儀なくされている。この避難民のうち約半数の人々の食生活は貧困レベル又は貧困ライン以下とされており、早急な改善が必要となっている。そのため日本政府は、これらの人々に対しての支援を実施する事を決定した。
今回の支援は、「バングラデシュ小規模農家への生計向上支援及びミャンマーからの避難民への食糧支援計画」として供与額5億5,700万円の無償資金協力として実施される。この支援に関する書簡の交換は、日本の駐バングラデシュ大使と国連世界食糧計画(WFP)バングラデシュ事務所長との間で実施された。
今回の協力では、バングラデシュの小規模農家に対する緑豆等の栽培技術移転とミャンマーからの避難民に対するEバウチャーを活用した食糧支援を組み合わせ、小規模農家の持続可能な生計能力向上と避難民の健康状況改善を図るものである。この協力が実施される事により、対象小規模農家のポストハーベストロス率(収穫してから消費者の口に入るまでの間のロスの率)が2018年時点の25%から2021年には5%に減少し、緑豆等の栽培技術に関する研修を通じて小規模農家の生計が向上し、ミャンマーからの避難民の栄養状況が改善すること等が期待される。