日本政府は、ミャンマーの経済・社会発展を支援するための包括的な支援として、総額1,170億4,000万円となる4件の円借款を実施する事を発表した。
今回の支援は、2016年11月に実施された安倍総理大臣とアウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談において合意した、官民合わせ5年間で8,000億円規模のコミットメントに基づくものである。この支援は、「農業所得向上計画」「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画」「中小企業金融強化計画」「住宅金融拡充計画」として、4件の支援が実施される。
「農業所得向上計画」は、供与限度額が304億6,900万円となり、ミャンマーの国民の6割が従事する農業分野の所得向上計画に融資するものである。この計画では、北西部であるザガイン地域シュエボー灌漑地区において、農業生産・流通インフラの整備等を推進して地域の農業収入の向上を図るものである。この計画が実施される事により、2027年には地域の平均農業収入が約1.5倍になる見込みである。
「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズII)(第一期)」は、供与限度額が566億2,200万円となり、ミャンマーの首都と第一・第二の都市を繋ぐ鉄道整備計画に融資するものである。この計画では、ミャンマー最大の商業都市ヤンゴン・首都ネーピードー・第二の商業都市マンダレーを結ぶヤンゴン・マンダレー鉄道を整備するものである。この計画が実施される事により、2026年には1日あたりの運行本数が3倍強に増加され、現在11時間以上かかっているタングー・マンダレー間の所要時間は7時間程度に短縮される見込みである。
「中小企業金融強化計画(フェーズ2)」は、供与限度額が149億4,900万円となり、ミャンマーの中小企業振興と金融セクターの融資能力向上計画に融資するものである。この計画では、ミャンマー経済銀行からミャンマーの現地金融機関を介して中小企業への中長期且つ緩和的な担保条件による資金の供与を行うものである。
「住宅金融拡充計画」は、供与限度額が150億円となり、ミャンマーの低中所得世帯向け住宅ローン供給及び住宅セクターを拡充する計画に融資するものである。この計画では、ミャンマー経済銀行からミャンマーの現地金融機関を介して低中所得世帯へ住宅ローンを供給する等を実施する。