アセアン各国では急速な経済発展に伴い電力需要が急増しているが、ほとんどの国ではこの需要を満たすだけの発電が出来ておらず、電力不足が経済発展を阻害する要因のひとつであった。しかしながらラオスでは、シンガポールなどの他のアセアン各国へ電力を販売する予定であることを地元メディアが報じた。
ラオスは海に面していないが、豊富な川資源に恵まれているため、世界銀行などを中心した支援を受けてダムの開発を積極的に行っている。これらのダム開発が完成した場合には、十分な発電が行われる見込みである。この余裕が出来た電力を自国産業へ提供した場合でも、余剰が発生すると見込まれているため、他国への販売へ舵を切ることとなった。
この発表によると、ラオス政府は2018年以降の目標としてシンガポールに電力を販売する方針で関係者で協議を進めている。シンガポールまでの送電網の設置にはタイ、マレーシアなどを経由するために、ラオス・タイ・マレーシア・シンガポールの4国による協議が進められている。
シンガポール政府は、ラオスのダムによる発電事業は、廃棄物などが発生する他の発電方法と異なりクリーンで再生可能なエネルギーであることからも、ダム開発事業を評価しており、この電力を歓迎して購入することを表明している。また、ラオスとシンガポールにおいては、送電に関する各種規定が異なるため、この解消方法についても話し合いが進められている。
ラオス政府はシンガポールへの販売だけでなく、隣国のタイ・ベトナム・カンボジア・ミャンマー・中国などへの電力販売を検討している。2015年末にはアセアン経済共同体(AEC)の設立が予定されており、AECが設立した際には、アセアン地域内における経済交流が深まることからも、ラオスがアセアンにおける電力発電のハブとなる日がくるかもしれない。