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インドネシア政府は、首都ジャカルタにおいて14日に爆弾テロが発生し、バリ島でテロを予告した人物を逮捕したことを受けて、既存のテロ防止法を強化させる方針を発表したが、この法律は悪用される可能性が高いとして懸念の声も挙がっている。
隣国のマレーシアでは、イスラム国から国名を挙げたうえでテロの標的としていると宣言されており、自国民からもイスラム国へ参加する者が相次いで発生していたため、テロ対策を厳格に実施していた。昨年の12月末には、既存のテロ防止を強化し、令状無しに容疑者の逮捕および拘束を可能とするようにしていた。これらの活動の成果もあり、マレーシアではテロが現時点では発生していないため、インドネシア政府も同様の法律改定を検討することとなった。
インドネシアの現在の法律では、シリアに渡航しイスラム国に接触しても、違法な行為およびテロ行為などに加担していない場合には、インドネシアに帰国出来てしまうため、これらの人々が帰国出来ないように規制を行う方針である。また、テロ行為を事前に確実に防ぐために、容疑者がテロ行為を実施するという確実かつ十分な証拠が無い場合にでも、犯行が疑われる容疑者を逮捕し2週間まで拘束することを可能とする。
これらの法律改正はテロの防止に確実に役立つことになるとしながらも、市民の自由を大幅に制限することに繋がると、議員からも懸念の声が挙がっている。過去のインドネシアでは、独裁者達がこのような法律を悪用することで、反対勢力を恣意的に弾圧・拘束し、自身の基盤を固めていたため、1999年に民主的な選挙が実施されるまでの数十年を独裁者の手に委ねていた暗黒時代を思い出させるからである。