衣料工場労働者の賃金上昇要求により衣料産業確立の岐路にたつカンボジア

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画像:カンボジア衣服製造業者協会HPより引用
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カンボジア政府は2013年12月に工場などの労働者の最低賃金を2018年までに最低でも160ドルまで引き上げる計画を発表している。現状の労働者の最低賃金は約100ドルまで上昇しているが、労働者側は更なる賃金アップを要求しており、カンボジアの衣服製造業者協会は労働者との賃金交渉を行っていることを発表した。

現状の労働者の最低賃金は約100ドルであり、今回の賃金引き上げ要求に対しては、工場側は110ドルへの変更を提示しているが、労働者組合は170ドルの要求をしており、容易に決着がつかない状況である。労働者の賃金が上昇すると、衣服メーカーはカンボジアから撤退するため、工場側も労働者側の要求を容易に受け入れられない状況である。
カンボジアで衣料を生産しているメーカー(H&M、Zara、Inditexなど)は存在するが、これらのメーカーは急激な賃金上昇には反対している。

カンボジアの工場は正式に登録しているだけで400以上の衣料品工場があり、登録していない小規模な工場も多々あるため、実態が把握できていないという問題もある。サプライヤーから正式に依頼を受けた公認工場から更に他の工場への非公式な発注が日常的に行われており、事故などの不慮な事が発生した際にサプライヤーが迅速に追跡を行えない状況である。
昨年の2013年5月にはH&Mから発注を受けた工場において、20人以上のけが人が発生する事故が発生した。更に、同月に南部コンポンスプーにある靴生産工場においては、渡り通路が崩壊し2人が死亡する事故も発生している。カンボジアで発生する事故の要因としては、作業工程にて事故が発生するわけではなく、コストを削減するために工場の建設費を抑えたために、予期せぬ事象(床、廊下の崩壊など)が発生するという傾向がでている。

カンボジアの労働者の最低賃金が上昇すると、隣国のミャンマーやベトナムに工場が移転するとみられている。特にミャンマーでは昔から繊維分野に関しては進んでおり、近年の民主化の波を受けて外資の工場を積極的に呼び込んでいることからも、カンボジアにとっては強力な競合である。
労働者の賃金上昇を行うと他国へ工場が移転してしまうという状況もあり、今回の騒動はカンボジアにおいて衣料産業を国の主要産業として確立出来るかの重要な岐路となりそうだ。

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