マレーシアで開催されていたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議が6日に終了した事に伴い、正式に6日深夜にASEAN共同声明が発表された。この共同声明の草案は早期に完成しており5日に発表する予定でいたが、アセアン加盟国のそれぞれの立場の違いから、表現方法の調整で時間がかかり、最終版を発表するのに難航していた。
当編集部が入手したASEAN共同声明の最終版では「アセアン経済共同体(ASEAN ECONOMIC COMMUNITY)」「観光(Tourism)」「南シナ海(South China Sea)」などの様々なカテゴリ触れており、165項にもおよぶ声明文となっている。

(ASEAN共同声明)
日本との関係に関しては「アセアンと日本の関係(ASEAN-Japan)」として、第114項から第118項までで触れられている。日本からの各種支援(災害対策・緊急支援など)を高く評価するとともに満足しており、感謝する旨が記載されている。日本が実施しているメコン地域への支援に関しても触れられており、日本が人的交流を通じて、文化と芸術の面からの協力を実施していることも評価している。
中国の南シナ海の領有権問題では「地域と国際問題(REGIONAL AND INTERNATIONAL ISSUES)」の「南シナ海(South China Sea)」として、第150項から第156項において触れられている。第150項では、南シナ海において現在進行形で深刻な懸念が発生しているという表現を使用しているが、この項においては中国の名前は出していない表現であった。他の項では、南シナ海で緊急事態が発生した際にはASEANと中国との間で政府高官による直接対話の機会を確立すべきというインドネシアからの提案が行われている。フィリピンからは、海洋法に関する国際連合条約(United Nations Convention on the Law of the Sea)を軸として、更なる会議を行う提案がなされており、フィリピンとしては対中国への現状の内容に満足していない旨が伺われる。
ベトナム政府も中国と南シナ海の領有権で争っているが、今回の外相会談および声明文からはベトナム政府が中国を名指しで強く批判している言動はなく、フィリピン政府の対応とは一線をおいている事が伺われる。
カンボジアおよびラオスは中国からの支援を受けていることもあり中国を名指しで批判する事には同意していない状況である。以前のニュース(ベトナムは中国からの支援を元に関係改善を目指す)でも報じているが、ベトナム政府も独自に中国との和解を模索している状況であることからも、今後も中国との南シナ海の領有権ではアセアン全体での統一した対応をとる事は困難な状況である。
アセアン10カ国情報










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