名古屋市は、新たな名古屋市多文化共生推進プランを策定するにあたり、外国人市民などへのアンケートを実施した結果、暮らしやすい社会にするために必要なことでは、外国人に対する差別偏見をなくし就職や就業環境改善を支援するという意見が多く、イスラム教の学校や礼拝所が欲しいなどの回答があったことを明らかにした。
名古屋市では、平成29年度から令和3年度までを計画期間と定めた「第2次名古屋市多文化共生推進プラン」に基づき、さまざまな多文化共生に係る事業を実施している。令和3年度には、現行のプランを継承する第3次名古屋市多文化共生推進プランの策定が予定されているため、それに先立ち、現行のプランの評価や問題点を考えるとともに、外国人市民や多文化共生に関わる団体・企業・仲介事業者の声を聴き、第3次プランに反映させるべき事項を整理することを目的に、調査が実施された。なお、この調査は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託された。
『あなたは、外国人市民が暮らしやすい社会にするために、どのようなことが必要だと思いますか』という質問に対して、「外国人に対する差別偏見をなくす」54.5%、「外国人の就職、就業環境改善を支援する」52.9%、「日本語を学ぶ機会を増やす」47.3%、「外国語での行政・生活情報の提供を充実させる」46.9%、「外国人のための相談サービスを充実させる」45.2%、「外国人と日本人が交流する機会を増やす」43.4%の順となっている。その他の記述内容では「永住権がなくても住宅ローンが組める環境」「カナダ、シンガポール、フランスのような多文化国家を見習うこと」「外国人・日本人という区別をつけず、人間として平等な行政を作ってほしいです」「配偶者ビザの所持者が労働時間の制限を受けなくて済むようにし、一般的な仕事を見つけられるようにしてほしい」
自由意見では、「名古屋の各地域にインターナショナルスクールかイスラム教の学校を作ってもらえますか?イスラム教徒の生徒のために、ハラル食品の給食を用意してもらえますか?」「名古屋は暮らすのにはいい街だが、名古屋の人々はあまり外国人に友好的でないと感じる。それは文化交流が足りていないから。外国の文化を伝えるプログラムを名古屋市がもっと企画してくれたら問題は解決できるかもしれない」「公共施設にできれば小さくても良いので礼拝所が欲しい。イスラムへの偏見をなくして欲しい」「両親が来日して生活できるように緩和政策をとってほしい(両親はすでに高齢で、誰も面倒を見る人がいないため、今後も日本に残るか、帰国して発展を目指すかで悩んでいる)」「この様な調査にどれ位の費用を使うのか?」などがあった。