日本の独立行政法人である国際協力機構(JICA)は、バングラデシュ全土の食品安全検査システム改善に貢献するため、バングラデシュ向け技術協力プロジェクト討議議事録に署名を行った。
バングラデシュ人民共和国では、国内の食品汚染に関するモニタリングシステムが不十分であり、健康被害の状況が正確に把握できていないが、生産・流通・加工・販売の各段階において品質管理が担保された製品のニーズが増大していた。バングラデシュ政府では、「国家農業政策 2012」において農産物の安全性確保の必要性を示し、2013 年に食品安全法を制定し、2015 年には食品安全庁「BFSA」を設立している。BFSA は、国内市場に流通する農産物や食品及び輸入品の安全性確保のため、当該分野の監督官庁として法制度設計や運用に関する議論を牽引するとともに、これまで保健家族福祉省、農業省、産業省等が省庁縦割りで実施してきた取り組みを調整し、検査体制の構築、検査機関同士のネットワーク形成等の役割を担うことが期待されていた。そのため日本政府は、バングラデシュ全土の食品安全検査システム改善を支援することを決定した。
今回実施される支援は、『バングラデシュ食品安全庁査察・規制・調整機能強化プロジェクト』として、60ヵ月にわたって実施される予定である。このプロジェクトでは、BFSA の食品安全行政を実施するための食品安全検査の実施・報告に関する管理体制の強化、食品安全監視・監督体制の構築、食品検査室の連携体制の強化、消費者の食品安全に対する意識啓発に向けた活動を通じて、BFSA の食品安全に関する査察・規制・調整機能を強化し、もってバングラデシュにおける食品安全管理体制の向上に寄与するものである。日本側の総事業費は、約3.7億円となる。