東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の第26回会合が、オーストラリアのメルボルンで6月22日から7月3日までの日程で開催される。
ASEAN10か国とオーストラリア・ニュージーランド・インド・中国・韓国・日本の6か国の合計16か国は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を設けるための交渉会合を定期的に開催している。第1回目となる交渉会合を2013年5月にブルネイで開催した後に、今までに15回の閣僚会合と25回の交渉会合を開催している。
2018年3月の閣僚会合においては、世耕経産大臣が一定の質が確保されることを前提として年内妥結を目指すASEANを支持する旨を表明していた。2018年11月のRCEP閣僚会合・RCEP首脳会議の際には、2018年における交渉の実質的な進展を歓迎するとともに、RCEPを2019年に妥結する決意が示されていた。
今回の会合には、日本からは田村暁彦経済産業省通商交渉官と飯田圭哉外務省経済局審議官をはじめとする関係省庁の関係者が出席する予定である。会合では、高級実務者レベルの貿易交渉委員会会合に加え、物品貿易・サービス貿易・投資の分野で市場アクセス交渉が行われる。また、原産地規則・知的財産・電子商取引等の各分野で交渉が行われる予定である。
日本政府の海外政府との経済連携協定における取り組みでは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と日EU経済連携協定(EPA)を締結しており、それぞれが発効されており堅実な運用が行われている状況である。一方でRCEPは、TPPに参加しておらず大国である中国とインドが関わっていることからも、交渉は難航している状況である。また、中国は以前からRCEPの早期妥結を行うことを希望していたが、アメリカとの貿易戦争を行っている現状では他国との円滑な貿易を行う必要が早急にでており、さらなる早期妥結を行うことを希望しているとみられている。日本政府にとっては、TPPとEPAの協定である程度の安定した貿易を行えることから、相対的にRCEPの重要性が低くなっているとの見方も出てきている。日本政府としては、RCEP早期妥結に向けて努力していくとの声明は発表しているが、RCEPが成立することによるデメリットも出てくるため、この交渉が最終的に妥結するかどうかは不透明な状況となっている。