厚生労働省は、「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」を実施した結果、病院における外国人患者受入れは約半数が経験しており、この病院のうち外国人患者による未収金を経験しているのは18.9%であり、未収金の総額が100万円を超す病院もあったことを発表した。
日本政府では、積極的な海外観光客誘致活動を実施した結果、2018年の訪日外国人旅行者は約3,119万人、在留外国人は約263万人となり、著しく増加している。そのため日本政府は、「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に関するワーキンググループ」を開催し、2018年6月に「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策」を取りまとめていた。この取り組みの一環として、外国人に対する医療提供体制の現状を把握する必要がでていたことから、厚生労働省が全国の全ての病院と一部の都道府県の診療所を対象として、医療機関の外国人患者受入能力向上のための基礎資料を得ることを目的とした、実態調査を実施していた。
外国人患者の受入れ実績は、都道府県を通じて全ての病院に調査を依頼したところ、約47%の3,980病院のより回答を得た。2018年10月の一か月間の外国人患者受入れは、約半数となる1,965病院で受入が行われていた。外国人患者の受入実績のあった病院では、外国人患者数が1ヶ月間で10人以下であった病院が半数以上の1,062病院である一方で、1,000人以上受入のある病院も10病院もあった。
未収金の発生状況に関しては、2018年10月に外国人患者の受入実績のある1,965病院で、18.9%となる372病院で、外国人患者による未収金を経験している。1病院あたりの未収金の発生件数は平均8.5件、総額は平均42.3万円であり、総額が100万円を超す病院もあった。なお、この調査において未収は「請求日より1ヶ月たっても診療費を全額が払われていないこと」ことと定義している。
周産期母子医療センターにおける分娩に関する調査も実施され、全国の地域周産期母子医療センターと総合周産期母子医療センターの406のうち、78.3%となる318センターから回答を得た。有効な回答となる236センターのうち、4%の10センターで、2017年4月から2018年3月の間に訪日外国人旅行客の分娩が報告された。分娩数は、センターあたり1から3分娩であり、この分娩例のうちで費用の未収金に至った事例もあった。