南シナ海の領有権問題で中国はインドネシアに異例の譲歩

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画像提供:中国政府
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インドネシア政府が、南シナ海の南部に位置するナトゥナ諸島の領有権はインドネシアにあり中国政府にはない、との見解を表明したことに対して、中国の洪磊副報道局長は12日に実施した記者会見において「ナトゥナ諸島の領有権はインドネシア政府にあり、中国政府は領有権を主張していない」との見解を示した。中国が南シナ海における領有権問題で譲歩するのは異例の事態である。

以前のニュース(南シナ海問題でインドネシアが中国を国際司法機関に提訴も)でも報じているが、中国政府が今までに南シナ海の領有権を主張する際に使用していた地図「九段線」に、インドネシアのナトゥナ諸島の排他的経済水域(EEZ)が含まれており、これをインドネシア政府が問題視し、この諸島の領有権とそれに付随する権利はインドネシアにあると11日に政府見解を示していた。

洪磊副報道局長は記者団に対して「中国政府は、インドネシア政府が懸念しているナトゥナ諸島における領有権を主張するつもりはない。中国政府の見解としては、ナトゥナ諸島の領有権は間違いなくインドネシアにあると認識している。また、中国は歴史的事実と国際法に基づいたうえで、平和的に該当する国と直接の交渉を行っている。これは南シナ海の領有権を決定する際にASEAN諸国と約束した方法によるものである。中国政府はインドネシア政府と包括的な戦略的なパートナーシップを締結していることもあり、両国間の関係を健全に進歩させるために、今後も共同で努力していく方針である。」との旨の発言を行った。

中国政府は南シナ海の領有権問題でフィリピンとベトナムと争っており、近年ではアメリカ政府もこの問題に介入してきている。そのため中国政府は、これ以上の敵を作るのは得策でないと判断したために、異例の譲歩をすることとなったとみられる。

<2015.11.14 追記>
※中国政府はインドネシア政府が最重点としている、排他的経済水域(EEZ)に関しては言及しておらず、インドネシア側の最大の懸念は解消されていない。以前の中国政府はナトゥナ諸島における領有権も主張しようとしていた事もあり、この点のみ譲歩した形となっている。

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