T&E、各国はパリ協定のもと飛行機雲を気候変動計画に含める義務がある旨の法的助言を新たに提示

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航空部門の非CO2排出量を算定対象に含めない国は、気候変動に関する取り組みを遵守していないとの法的分析が示された。環境団体のT&Eとオポチュニティ・グリーンは、ブラジルで今年開催されるCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)までに非CO2排出量を算定対象に含めるよう各国に呼び掛けています。



ブリュッセル--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --コーナーストーン・バリスターズが実施した法的分析によると、各国がパリ協定に対するコミットメントを遵守するためには非CO2排出量を各国の気候変動計画に含めなければならないとされています。非CO2排出は航空部門における気候影響の少なくとも半分を占めています。今回の助言は環境団体であるT&Eとオポチュニティ・グリーンの委託により行われました。今回の助言により、各国がCOP30(11月20日にブラジルで開催)に先立って提出が求められる「国が決定する貢献(NDC)」に非CO2排出量を組み入れることについて、法的義務があることが示されました。

パリ協定の温度目標では、地球温暖化を抑えるための計画の策定を各国に義務付けています。飛行機雲(空に描かれる白い線)など、航空機から排出される非CO2排出が温暖化に影響を及ぼすことは既に実証されています。実際、非CO2排出による影響は航空関連のCO2排出がもたらす気候影響に匹敵、あるいはそれを上回る可能性もあることが科学的研究により明らかとなっています。したがって、法的結論として、非CO2排出を気候変動計画に盛り込まない国は、気候変動へのコミットメントを果たしていないことになります。

T&Eの航空部門ディレクターを務めるダイアン・ヴィトリーは次のように述べています。「科学者は飛行機雲が温暖化に影響を及ぼすことについて 25年 もの間警鐘を鳴らし続けてきましたが、今回の法的助言により各国は削減に向けて取り組まなければならないことが示されました。単なる書類上の取り決めから実際に行動を起こす段階へと移行し、航空部門の気候変動による影響を国の気候変動計画に完全に組み込むときがきたのです。」

弁護士の見解

明確な法的結論として、各国はパリ協定により、航空部門で発生する非CO2排出を気候変動計画に含める義務があります。この結論を裏付ける主な理由は以下の3つです。

  • 温度目標 - パリ協定の主な目的の一つとして、気温上昇を抑えることが挙げられます。飛行機雲のような非CO2排出は温暖化に影響を及ぼすことが知られています。これらに対処することは、気温上昇を工業化前比+1.5℃の範囲内に抑えるための「野心的な取り組み」を各国が果たすうえで重要な鍵となります。
  • 排出量全体の削減 - パリ協定では、CO2排出量の削減と同様に、航空部門などで発生する非CO2排出量の削減が実施されなければならないと定められています。
  • 利用可能な最良の科学的知見 - また、パリ協定では、各国が「利用可能な最良の科学的知見」に基づいて行動しなければならないとされています。環境リスクに関する科学的根拠がある場合、多少の不透明な点があっても予防的方策を採用すべきです。法的助言によると、予防的方策には航空の非CO2排出が及ぼす影響に対処する措置を含むことが適切であるとしています。

飛行機雲の削減により、航空部門の気候変動による影響を簡単に抑制可能

航空部門によるCO2排出が地球温暖化に影響を与えており、現在、世界の年間CO2排出量の約2~3%を占めています。それに加えて、航空機エンジンは気候や健康に影響を与えるその他のガスや粒子状物質も排出しています。これは非CO2排出と呼ばれ、環境に及ぼす影響が甚大であるにもかかわらずその存在はほとんど知られていません。非CO2排出として最も目につきやすいのは、いわゆる飛行機雲です。これは航空機から排出された水蒸気が凝結したもので、CO2と同等あるいはそれ以上に地球温暖化に寄与しています。2019年における飛行機雲による温暖化効果の80%を世界の航空便の3%未満が生み出すなど、飛行機雲による温暖化は一部のフライトに集中した問題といえます。

しかし、飛行機雲およびその影響を和らげることは、他の気候に関する問題よりも迅速かつ費用対効果の高い方法で実現可能です。方法としては、一部のフライトの飛行経路をわずかに変更するだけで充分です。さらに、飛行機雲が気候に与える影響は短期間に留まることから、これに対処することで気候変動に対して短期的なメリットをもたらすことができます。パリ協定で定められた目標達成に向け競争するなか、こうした取り組みがまさに求められているといえます。

T&Eは、ブラジルで開催予定のCOPに先立ち提出される次回ラウンドのNDCに航空部門における非CO2排出の影響を盛り込む必要があり、既にNDCを提出した国々もこうした影響を反映させるべく更新すべきだと強調しています。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。


Contacts

T&E
Asia-Pacific Program Director
Jude Lee
jude.lee@transportenvironment.org

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