日本の一部の自治体では、コロナ禍で来日できないフィリピン人と日本人の婚姻届が提出された際に、海外からパスポートの原本を提出することは困難であるなどの理由により、パスポートの写しでも婚姻届が受理される運用に改善されていた。
日本のとある市において、フィリピン人との婚姻届を提出しようとしたところ、窓口でパスポートの原本提出を求められたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で本人の来日が困難であり写しでも受理してほしいとの行政相談が発生していた。この相談を受けて、法務局に対して相談者の婚姻届を受け付けさせることなどあっせんが行われたところ、この市ではパスポートの写しでも婚姻届を受理することとなり、個別の相談の解決が図られた。
この事例が発生したことを受けて、追加調査が行われた結果、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で来日できないフィリピン人と日本人の婚姻届が市区町村に提出された際に、多くの市区町村では国籍証明書としてパスポートを「原本のみ認める」としていた。このため、フィリピン国籍に限らず、原本以外でも受理できる場合がある旨を法務省において市区町村に対し周知するよう依頼が行われた。
この依頼を受けて、法務省では、国籍証明書であるパスポートの原本提出が困難な場合の取扱いについて法務局・地方法務局を通じて市区町村に対して速やかに周知を行い、現場運用の改善が図られた。
なお、夫婦の一方が外国人である場合の婚姻における国籍別の内訳は、2020年は、中国3,022、韓国・朝鮮2,875、フィリピン2,143、タイ656、アメリカ1,265、ブラジル502、英国259、ペルー179となっていた。なお、2001年の場合は、中国14,729、韓国・朝鮮8,665、フィリピン7,243、タイ1,895、アメリカ1,591、ブラジル590、英国360、ペルー277となっていた。