中国政府が受注したインドネシアのバンドンと首都ジャカルタを結ぶ高速鉄道計画は、詳細な契約内容の合意と各種認可がおりていなかったために工事が中断する事態となっていたが、契約内容について概ねの合意がとれたことにより、建設を手掛ける両国の国営企業連合とインドネシア政府の間で正式に事業契約を締結したことをインドネシア政府は発表した。これにより、インドネシア高速鉄道の工事が本格的に開始される。
インドネシア高速鉄道計画は、日本政府と中国政府が受注を争っていたが、インドネシア政府の保証を必要としないという中国政府の案が決め手となって、中国政府が受注することとなっていた。しかしながら、その後の交渉の際に、当初の要求と異なり中国政府側はインドネシア政府の政府保証を要求し、鉄道の運行保証期間や完成した鉄道資産をインドネシア政府に譲渡する条件などについて合意が得られていなかった。
締結された正式な契約では、インドネシア政府の予算を使用しないことが明記されており、路線を敷設する距離は約142キロと明記された。敷設する距離が当初見込みよりも短縮されたため、総事業費は当初の想定から減少した51億ドルと明記された。完成した鉄道資産をインドネシア政府に譲渡する条件は、50年後と明記された。開発に必要な大半の資金は、中国開発銀行から調達されることとなり、この調達された資金は他の用途で使用されないことも明記された。運転開始は、2019年5月末を目指す。
今回の契約により工事は本格化されるが、現段階では全ての認可が取得出来ているわけではなく、建設に必要な環境調査などが完了したわけではない。インドネシア運輸省は、これらの安全対策を早急に実施することを要求しており、これらの対策が行われていない、もしくは適切な報告が行われていない場合には、工事のライセンスを取り消すことがあると警告している。