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中国の李克強首相とスリランカのウィクラマシンハ首相は、北京で首相会談を実施し、共同声明を4月9日に発表した。この声明でスリランカ政府は、南シナ海の領有権問題で中国政府の紛争を解決する活動を評価する旨の声明を発表している。
発表された共同声明では、今後の両国間の関係を強化する事に合意するとともに、中国政府からスリランカ政府に多額の資金供与と様々な分野(農業・漁業など)における技術提供を行う事に合意している。この経済協力の見返りに、スリランカ政府では南シナ海の領有権問題で中国政府の対応に対しての批判を行うことが出来ずに、逆に中国政府が南シナ海において平和と安全を求めている活動を評価するとの声明を行うこととなった。スリランカ政府では、昨年の1月に成立したシリセナ大統領が前大統領の親中路線から転換し、中国政府との距離を置く路線に転換しつつあったが、経済協力をきっかけとして再び親中路線に戻る見込みとなった。
中国政府の南シナ海問題における対応は、直接的な当事者ではない国(ラオス・カンボジア・ミャンマーなど)へ経済支援を行い、その結果として中立もしくは中国寄りの立場に立つように要望しており、この施策は一定の成果を出している。この施策をASEAN加盟国以外にも実施しているが、中国政府が構想する「真珠の首飾り」戦略で途中に位置するインド政府では、中国政府の意向に従っていないために、近隣のスリランカ政府への切崩しを行う事となった。
インド政府では、以前のニュース(インドはベトナムへ南シナ海の衛星画像を提供、新しい中国包囲網)でも報じているが、対中国としてベトナム政府との軍事関係を強めている。そのため、今後も中国政府によるインド周辺国への切崩しが進みそうである。