岩屋外務大臣は、海洋法条約に明確な規定はないため、中国が尖閣諸島周辺に設置したブイを撤去することができないとの見解を示したため、今後も中国などの国がブイを設置しても日本政府が自主的に撤去する可能性が低いことが明らかになった。
2月12日に実施された岩屋外務大臣会見の際に、記者から「中国側が尖閣諸島周辺に設置したブイを撤去しました。また、これまで日本政府は自らブイを撤去することはせず、中国に自主的に撤去するように求めていましたが、今後もこの方針に変わりはないでしょうか。日本政府が自ら撤去に乗り出さない理由も改めて伺います」との旨の質問が行われた。
この質問に対して、岩屋外務大臣は「中国外交部は、御指摘のブイが元の場所での作業任務を終えて、科学的な観測の実際の必要性に基づいて、当該ブイについて、自主的かつ技術的な調整を行った旨対外的に説明したと承知しております。それ以上の背景や経緯等について予断をもって我が方がお答えすることは差し控えたいと思います」との旨を述べた。
その後に大臣は「こういったブイの設置は、国連海洋法条約との関係で問題になるものでございます。しかし、そのようなブイの設置に対して、関係国がどこまで物理的な措置をとることが国際法上許容されるかということについては、海洋法条約に明確な規定はないのです。また、これまでそういった事例の蓄積も見られない状況にございます。したがって、我が国の対応の在り方につきましては、国際法上の基準があればそれに沿ってやればいいということだと思いますが、その基準が不明確な中でどうするかということについては、総合的な判断が求められるということだと思います」との旨を述べた。
なお、フィリピン政府では、中国政府と領有権を争う南シナ海の海域に設置していた浮遊式の障害物を、自主的に撤去したことを発表している。