東京都などによる「令和2年度国際化市民フォーラム in TOKYO」が開催され、外国人は永住者や定住者以外は生活保護が使えないという課題が改めて表れたとともに、緊急小口資金や住宅確保給付金はかなり幅広い在留資格が対象となるため、セイフティーネットになっていたことなどが明らかにされた。
このフォーラムは、コロナ禍で初のオンライン開催となり、今回は分科会A『コロナ禍の中で見えてきた外国人を取り巻く状況と課題』、分科会B『「なぜ」、「いま」国際協力が必要なのか ―ウィズコロナ時代の国際協力の在り方を考える』が開催された。このフォーラムの主催は、東京都国際交流委員会、国際交流・協力TOKYO連絡会となり、共催は東京都日本国際連合協会東京都本部、一般財団法人東京都つながり創生財団、講演は独立行政法人国際協力機構、一般財団法人自治体国際化協会となる。
一般財団法人国際都市おおた協会多言語相談窓口からの報告では、大田区の総人口は約73 万人、外国人口は24,122人、3.3%を占めており、中国、韓国、フィリピン、ベトナムの順に多く、その中で在留資格では永住者が30%と一番多い。4月の緊急事態宣言中は相談者数が多くなかったが、緊急事態宣言が解除された5月、6月から相談者数が増え、6月には特別定額給付金の申請などで前年度と比べるとほぼ倍となった。緊急小口資金、総合支援資金、住宅確保給付金など、生活福祉関連相談、コロナに端を発した労働相談、生活困窮の相談が多かった。外国人は永住者、定住者の在留資格でないと生活保護を受けられないが、緊急小口資金や住宅確保給付金はかなり幅広い在留資格が対象となるのでセイフティーネットになっていた。
明治学院大学の教養教育センターの准教授からの総括講演『コロナ禍で見えてきた外国人相談を取り巻く状況と課題』では、コロナ禍で相談件数の増加が目立ち、コロナ感染という直接の不安よりも、税金の猶予や失業、生活困窮が多い印象だったとしている。在留資格の不安は、日本人にはない問題であり、失業で在留資格の更新ができなくなってしまうとしている。また、ホームレス状態になってしまうケースでは、永住者や定住者以外の外国人は、生活保護が使えないという課題が改めて表れたとしている。有事になると弱者への影響が大きいのはどこの国も一緒だが、日本の中でも外国人、外国人でもより弱い立場の人に影響が出ているとしている。