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日本の外務省は、マーシャル諸島共和国における海洋環境保全を支援するため、2億円の無償資金協力を実施する事を発表した。この支援は、太平洋地域における航行の自由を確保する活動にも関連しているとみられる。
マーシャル諸島では、国土が日本の霞ケ浦とほぼ同じ大きさの180平方キロメートルであり、極めて狭小な環礁で構成されているために、小規模な農業・漁業以外に主だった産業が存在していない。そのため、マーシャル諸島が保有する広大な排他的経済水域において操業する漁船からの入漁料等は、この国の財政を支える重要な財源となっている。しかしながら、この領域で入漁する漁船による廃油等の不法排出が行われているため、漁業資源へ深刻な悪影響を与えていた。
そのため日本政府は、海洋に流出した油類の除去のために、ココナツの葉の代わりとなるオイルフェンス等の機材を供与する支援「経済社会開発計画」を実施する事を決定した。この支援が実施される事により、効率的に油を回収出来るようになり海洋環境保全の促進が図られることが期待される。
今回の支援は、日本政府が掲げる政策「自由で開かれたインド太平洋戦略」の一環としても実施されたものとみられる。太平洋地域では、一部の大国が途上国への支援を行うと同時に周辺海域を押さえる政策を実施している。この政策に危機感を感じたオーストラリアとニュージーランドは、航行の自由を確保するための防衛強化を行うとともに、民主主義を採用している同盟国等に太平洋地域における航行の自由を確保する活動に協力するように呼び掛けている。