ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅活動を国際刑事裁判所に提訴

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が推し進める麻薬撲滅活動により大量の人が殺害されている事は人道に対する罪に該当するとして、フィリピンの弁護士がオランダのハーグ国際刑事裁判所(ICC)に裁判を行うよう要請する訴状を24日に提出した。

ドゥテルテ大統領は昨年の6月に就任した直後から、麻薬密売人や麻薬常習者等の取り締まりを強化し、捜査・逮捕の過程で必要とあれば殺害する事も容認する姿勢を示していた。この取り締まり活動の結果、8000人以上が殺害されているともいわれており、麻薬に無関係であったとみられる人も殺害される事件も発生していた。

この状況を懸念したフィリピンのジュード・サビオ弁護士は、オランダのハーグ国際刑事裁判所(ICC)に対して、ドゥテルテ大統領をはじめるとするフィリピン政府高官達への捜査を行うよう要請した。サビオ弁護士の主張は、ドゥテルテ大統領が推し進める麻薬撲滅活動では、継続的に超法規的殺人や大量殺人を続けているとして、人道に対する罪にあたるとしている。このサビオ弁護士は、昨年の議会上院でダバオ市長時代のドゥテルテ氏から殺害を依頼されたと証言したダバオ暗殺団の元団員の弁護人である。

フィリピン政府は今回の訴状提出に対して「フィリピン政府が主導している超法規的な殺害は行われていないし、支援もしていない。殺害されているのも薬物犯罪者のみであり、規定されている人道に対する罪には当たらない。今回の騒動は、大統領に対する悪印象を植え付けようとするプロパガンダではないか。」との旨の見解を示している。