兵庫県の斎藤元彦知事が会長を務める公益財団法人兵庫県人権啓発協会は、「SNS誹謗中傷等防止対策強化事業」に係るプロポーザルを実施するとともに、「国籍は人を判断するのに重要?」としたジャーナルを発行していることが明らかになった。
「SNS誹謗中傷等防止対策強化事業」は、SNSによる誹謗中傷等の加害者にも被害者にもならないためには、県民一人ひとりが、誹謗中傷等が他人を傷つけることを十分に理解する、ネット上の情報を安易に信用し拡散しないようにする等、正しい知識をもって行動をとることが重要であるとして、県民に馴染みの深い、県内のプロスポーツチーム等と連携し、SNS利用者に向けた広報や、県内各地で街頭キャンペーン等を展開することにより、SNSの適正利用に向けた気運を醸成し、SNS上の誹謗中傷の防止を図るものとなる。事業費は、340万円となる。
なお、兵庫県人権啓発協会では、ひょうご人権ジャーナルきずな1・2月号「国籍は人を判断するのに重要?」を発行している。このジャーナルでは、斎藤知事が巻頭で、『躍動する兵庫へ、さらなる挑戦』として、県民の皆様と力を合わせたオール兵庫での取り組みが欠かせないとして、ご理解とご支援を要請している。
このジャーナル内の記事で、テーマを【違いを認め合う】とした藍野大学医療保健学部の教授の記事では、「日本は単一民族国家」は本当か、として、日本は従来は様々な民族が移動の終着点としてたどり着いた地であろうとして、従来豊かな場が、モノクロ幻想に変えられたのは、この2世紀ほどであり、その過程で同化や排除といった、いじめの構造に似たようなことが繰り返されていたことも事実であると断言している。そのため、小さいころから違いを認め合い、「外国人」ではなく、「〇〇さん」と呼べる関係を地域でどのくらい豊かにつくれるかが鍵となるでしょうとしている。
テーマを【私たちはずっと共に生きてきた~多様な「外国人」と多様な「日本人」がともに築いてきた社会と文化~】とした在日朝鮮人3世の方の記事では、「外国人」=「よそ者」=「厄介者(日本の文化やマナーを無視する存在)」という負のイメージの連鎖(偏見)から、差別的な対応を受けることがあるとして、アパートを借りようとしたときに、日本で生まれ育っても外国人は信用できないといわれたような悔しい思いをしたことがあるとしている。また、国籍や在留資格による制度の壁は、職場でのいじめや家庭内暴力の被害にあっても、救済につながりにくいなどの深刻な人権侵害を引き起こすことがあるとしている。そのうえで、私たちが暮らす「日本社会」や「日本の文化」と呼んでいるのが実は多様な外国人と多様な日本人とがともに手を携えながら築いてきたものであるとしている。