齋藤健法務大臣は、広島県東広島市で来日して半年ほどのベトナム人の技能実習生が赤ちゃんの遺体を放置したなどとして死体遺棄の疑いで逮捕された事件に対しては、妊娠・出産した技能実習生は日本人労働者と同様の扱いをすべきとの認識を示した。
4月21日に実施された法務大臣閣議後記者会見の際に、記者から「東広島市で赤ん坊の遺体が見つかって、ベトナム人技能実習生が逮捕されました。技能実習生をめぐっては、過去にも同様の事案が起きています。大臣の所感と対策などがあればお願いします」との旨の質問が行われた。
この質問に対して、大臣は「報道があったことは承知していますけれども、現在捜査中の個別事案と認識しておりますので、お答えを差し控えたいと思います。一般論として申し上げますと、技能実習生については、日本人労働者と同様、妊娠・出産を理由とした解雇等不利益な取扱いをすることが禁止されており、妊娠・出産に関する権利や利用できる制度について、これまでも周知を行ってきたところです。本年4月から、妊娠・出産した技能実習生が適正に実習を継続することができるようにするため、やむを得ない理由により技能実習を中断した場合の再開手続の簡素化、自身の妊娠・出産を理由として技能実習を中断又は中止し帰国することとなった場合、出産などをした後に日本で技能実習を再開する意思があるかどうかを確認するための申告書を新設をしたところです。引き続き、制度を共管する厚生労働省や、外国人技能実習機構と連携しながら、この制度の適正化に努めていきたいと考えています」との旨を述べた。
なお、東広島市では2020年11月にも別のベトナム人技能実習生の女性が、寮で赤ちゃんを出産後に口に粘着テープを貼って放置して死亡させ遺体を埋めた事件が発生していたが、その女性は執行猶予付きの有罪判決を受け帰国している。
また、広島文教大学の准教授などからは、「家族の帯同を認めるべきではないか」との旨の見解が示されている。