厚生労働省は、「戦没者の遺骨収集事業の実施状況等に関する報告書」を作成し、遺骨収集のためにミャンマー・フィリピン・インドなどで情報収集し、パラオ諸島やソロモン諸島などで遺骨収集を行ったことを明らかにした。
「戦没者の遺骨収集事業の実施状況等に関する報告書」は、「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」に係る参議院厚生労働委員会における附帯決議に基づき実施されているものである。報告書では、「1.戦没者の遺骨収集事業のあり方の見直しに係る検討の経緯と今後の事業の実施について」「2.令和元年度の戦没者の遺骨収集事業実施実績について」として報告が行われており、2の報告に関しては、『情報の収集等』『戦没者の遺骨収集等』の報告が行われている。
『情報の収集等』に関しては、集中実施期間において、今次の大戦の交戦国の国立公文書館等に所蔵されている文書などの収集や現地調査といった、戦没者の遺骨収集に必要な情報の収集に集中的に取り組み、それらの情報などをもとに戦没者の遺骨収集を実施することとされている。令和元年度に実施した遺骨収集の実施状況は、指定法人が、ミャンマーへ3回、パラオ諸島へ3回、東部ニューギニア(パプアニューギニア独立国)へ6回、ビスマーク・ソロモン諸島(パプアニューギニア独立国1回、ソロモン諸島3回)へ4回、インドへ2回、ミクロネシアへ1回、マリアナ諸島へ5回、鹿児島県西之表市喜志鹿崎沖へ1回、派遣団員を派遣し、情報の所在地まで踏査し遺骨の有無を確認した 。また、厚生労働省が指定法人の協力を得て、旧ソ連地域へ5回(イルクーツク州・ブリヤート共和国、ザバイカル地方及びカザフスタン共和国各1回、並びにハバロフスク地方2回)にわたり派遣団員を派遣し、埋葬地調査や遺骨の有無を確認した。この他、厚生労働省がフィリピンへ1回、職員を派遣し、遺骨鑑定人等の同行の上で情報の所在地まで踏査し遺骨の有無を確認した。
『戦没者の遺骨収集等』に関しては、調査において収集した情報などに基づき、厚生労働省の指導監督の下、指定法人が必要に応じて現地の事情に精通した者や専門的な知見を有する者など各種の民間団体などの協力を得ながら実施している。令和元年度に実施した遺骨収集の実施状況は、指定法人が、東京都小笠原村硫黄島へ4回、パラオ諸島へ2回、マリアナ諸島へ3回、東部ニューギニア(パプアニューギニア独立国)へ1回、ビスマーク・ソロモン諸島(ソロモン諸島1回)へ1回、 旧ソ連地域へ4回(イルクーツク州・ザバイカル地方及びカザフスタン共和国各1回 、並びにハバロフスク地方2回)、樺太へ1回の計16 回の派遣を行い、348柱の遺骨を収容した。これらの他、厚生労働省が沖縄県において収容した1柱及び沖縄県に委託して収容した58柱を含め、令和元年度の遺骨収容数は、総計で407柱となった。