日本の総務省は、グローバル人材育成の推進に関する政策評価として、文部科学省に対して留学促進や中高の生徒・教員の英語力向上に係る3事項について勧告を行っていたが、2回目のフォローアップを実施したことを発表した。
総務省では、平成29年7月、文部科学省に対し、留学促進や中高の生徒・教員の英語力向上に係る3事項について勧告を行い、平成30年度からの第3期教育振興基本計画で勧告を踏まえた対応を求めていた。この第3期計画は、中央教育審議会における審議を経て、平成30年6月15日に閣議決定されており、総務省の勧告事項については、令和元年度末時点で、おおむね必要な対応が講じられていた。今回は3つの勧告事項に対しての、2回目のフォローアップが実施された。
勧告事項1「日本人の海外留学の促進」は、『短期留学の政策上の位置付けを明確にし、第3期計画における海外留学の促進に係る成果指標に反映させること』という内容であった。この勧告における政策への反映状況は『第3期計画では、短期留学についてもグローバルに活躍する人材の育成に資するものと位置付け、測定指標を「グローバルに活躍する人材の育成につながる短期留学者を増加させながら、大学等の日本人海外留学生数12万人を引き続き目指す」と設定。測定指標を達成するための具体的な施策についても位置付け』『文部科学省は、第3期計画に基づき、短期留学について、大学間交流協定に基づく留学に対する支援等を実施しているほか、令和2年度中に、留学の成果を定着させるための事前・事後研修に係る優良取組例を各大学等に周知予定』などとなった。
勧告事項2「中高の生徒の英語力の向上」は、『第3期計画における成果指標の設定に当たっては、生徒の英語力強化に関する成果指標の達成のための有効な対策及び達成状況の的確な把握のための措置を講ずること』という内容であった。この勧告における政策への反映状況は『第3期計画では、生徒の英語力強化のための測定指標として、「中学校卒業段階でCEFRのA1レベル相当以上、高等学校卒業段階でCEFRのA2レベル相当以上を達成した中高生の割合を5割以上にする」と設定。測定指標を達成するための具体的な施策についても位置付け』『文部科学省は、第3期計画の目標達成のため、都道府県教育委員会等に対し、都道府県ごとの目標設定を要請するとともに、英語教育実施状況調査等により継続したフォローアップを行い、好事例を普及するなどPDCAサイクルを確実に構築。さらに、生徒の言語活動の実施やICTの活用といった新学習指導要領に掲げられた授業改善の取組と測定指標の達成状況に相関がみられることから、これらの取組を促進。また、測定指標の達成状況を的確に把握するため、令和元年度英語教育実施状況調査において、その判定方法を周知。なお、測定指標の実績は、平成28年度から30年度において増加傾向』などとなった。
勧告事項3「中高の英語教員の英語力の向上」は、『第3期計画における成果指標の設定に当たっては、英語教員に関する成果指標の達成のための有効な対策を講ずること』という内容であった。この勧告における政策への反映状況は『第3期計画では、英語教育の最終的な目標は、生徒の英語力の向上であり、教師の英語力はそのための手段であること等から、英語教師の英語力の向上に係る測定指標は設定せず。ただし、生徒の英語力の向上のために、教師の英語力・指導力の向上に係る具体的な施策について位置付け』『文部科学省は、第3期計画に基づき、教師の英語力・指導力の向上を図るため、研修等の取組を進めるとともに、英語教育実施状況調査等により継続したフォローアップを実施』などとなった。