シンガポールの政府系シンクタンクである「ISEAS-Yusof Ishak Institute(ISEAS)」は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の有識者にたいして各種質問を実施した結果、米中競争によりどちらかを味方にするしかない場合にはアメリカを挙げた人が上回ったが、世界の平和・安全・繁栄などに貢献するために正しいことをしている国には中国やアメリカではなく日本を挙げた人が上回ったことを発表した。
この調査結果「東南アジアにおける状況調査(State of Southeast Asia: 2020 Survey Report)」は、ISEASが東南アジア諸国連合(ASEAN)の研究者や政府関係者などの有識者にたいして2019年の11月から12月にかけて実施したものである。
自由貿易を守るためのリーダーシップを発揮している国はどこですか?という旨の質問に関しては、日本が27.3%、EUが25.5%、中国が14.7%、アメリカが14.5%、その他が17.7%となった。日本と答えた人の国毎の内訳は、ミャンマーが37.7%、ラオスが34.8%、フィリピンが33.6%、ブルネイが29.9%、ベトナムが24.3%、タイが24.0%、シンガポールが23.9%、マレーシアが22.1%、インドネシアが21.6%、カンボジアが19.3%となった。
もしASEANが中国とアメリカのどちらかを味方にするしかない場合にはどちらを選びますか?という旨の質問に対しては、アメリカが53.6%、中国が46.4%となった。しかしながら、アメリカと答えた人が半数を超えた国は、フィリピンとベトナムとシンガポールの3か国のみであった。中国と答えた人の国別の割合は、ブルネイが69.1%、カンボジアが57.7%、インドネシアが52.0%、ラオスが73.9%、マレーシアが60.7%、ミャンマーが61.5%、フィリピンが17.5%、シンガポールが38.7%、タイが52.1%、ベトナムが14.5%となった。
ASEANが米中競争による不確実性をヘッジするための第三者は誰になりますか?という旨の質問に対しては、日本が38.2%、EUが31.7%、オーストラリアが8.8%、インドが7.5%、ニュージーランドが4.7%、ロシアが3.0%、韓国が3.0%となった。
米国が信頼できないと認識している場合、あなたの国の優先戦略的パートナーには誰になりますか?という旨の質問に対しては、日本が31.7%、EUが20.5%、中国が20.3%、オーストラリアが9.5%、ロシアが7.8%、インドが4.7%、ニュージーランドが3.7%、韓国が1.8%となった。
中国が世界の平和・安全・繁栄などに貢献するために正しいことをするとあなたはどれほど確信していますか?との旨の質問に対しては、非常に確信があるが1.8%、確信があるが14.3%、ノーコメントが23.5%、少しだけ確信しているが41.7%、確信していないが18.7%となった。
日本が世界の平和・安全・繁栄などに貢献するために正しいことをするとあなたはどれほど確信していますか?との旨の質問に対しては、非常に確信があるが11.1%、確信があるが50.1%、ノーコメントが17.5%、少しだけ確信しているが18.3%、確信していないが3.0%となった。
アメリカが世界の平和・安全・繁栄などに貢献するために正しいことをするとあなたはどれほど確信していますか?との旨の質問に対しては、非常に確信があるが4.1%、確信があるが26.2%、ノーコメントが20.0%、少しだけ確信しているが36.9%、確信していないが12.8%となった。