独立行政法人の国際協力機構(JICA)は、2018年度第一回中小企業海外展開支援事業として、合計で49件の採択を決定した事を発表した。
JICAでは、日本の中小企業がもつ製品・技術の開発途上国への適用可能性に係る調査・事業を通じ、中小企業の海外展開と途上国が抱える様々な課題の解決を目指す『中小企業海外展開支援事業』を実施している。この事業は『基礎調査』『案件化調査』『普及・実証事業』に分かれて実施されており、今回採択された案件の地域別割合は、東南アジア・大洋州が最大の59.2%となり、次にアフリカの18.4%、中南米の14.3%の順となっている。対象分野では、農業が22.4%、廃棄物処理が16.3%、水の浄化・水処理が16.3%となっている。
『基礎調査』の分野では、インドネシアで「膨張性粘土によるインフラ施設被害への多孔質(ポーラス)コンクリート製品導入に関する基礎調査」、フィリピンで「漏水を防ぐコンクリート補修材の販売に関する基礎調査」「現地環境に適した高品質・高収量野菜接木苗の生産販売事業のための基礎調査」、カンボジアで「建設インフラを支える日本製中古小型建設機械の流通及び活用に関する基礎調査」、ベトナムで「がん治療のための医療サービスの質向上にかかる基礎調査」「廃棄卵殻を活用した有機石灰肥料事業に係る基礎調査」「ベトナム国 湖沼水浄化システム事業に関わる基礎調査」、ミャンマーで「高機能特殊鋼を利用する特殊金型の現地展開に関する基礎調査」が採択された。
『案件化調査』の分野では、インドネシアで「都市給水の水質および供給力を向上するための送配水管内洗浄案件化調査」「有機性廃棄物の再資源化サプライチェーン事業案件化調査」、マレーシアで「下水道維持管理ロボットによる下水道管路の維持管理 案件化調査」、フィリピンで「イロコスノルテ州におけるニンニクの増産と黒ニンニク加工による生計向上のための案件化調査 」、タイで「微生物による染色排水の脱色事業案件化調査」「タイ王国での深刻化するヘイズ・森林火災対策に係る多機能消防ポンプの導入にかかる案件化調査」、カンボジアで「高品質種子と接ぎ木育苗技術による野菜の高付加価値化と生産性向上事業案件化調査」、ラオスで「耐久性の高い道路整備を可能にするコンクリート二次製品の導入に向けた案件化調査」「使用済みPETボトル再生製品原料化事業案件化調査」、ベトナムで「建設廃棄物の安全で効率的な分別・選別処理システムによる埋め立て処分量削減のための案件化調査」「自然調和型養殖技術を通じたエビ養殖生産性向上の案件化調査」「機能回復を目的としたリハビリサービス導入事業案件化調査」、ミャンマーで「南部デルタ貧困地域の水衛生問題改善のための病院・市場等への高度浄化槽導入に関する案件化調査」「ヤンゴン市の医療廃棄物適正処理のための民間受託に向けた最適な回収・運搬・処分システム構築に係る案件化調査」「ミャンマー国における稚エビ生産技術及び養殖農家支援の案件化調査」が採択された。
『普及・実証事業』の分野では、フィリピンで「フィリピン国 腐敗槽汚泥(Septage)固液分離液の高度処理システムの普及実証事業」、ベトナムで「ラムドン省産切り花高付加価値化のためのバリューチェーン・コーディネーション普及・実証事業」「高濃度有機系産業排水を対象とした高性能排水処理システム普及・実証事業」「公立病院の院内衛生環境改善のためのリネンサプライサービス普及・実証事業」「旭川市・クアンニン省の都市間連携による農産加工力向上のための普及・実証事業」、ミャンマーで「ミャンマー国 電動アシスト自転車普及・実証事業」が採択された。