ベトナムの首都のハノイでは、20日からベトナム共産党大会が開催されており、党の上層部の人事および国の基本政策について話し合われているが、中国政府への対応方針において議論が紛糾しており、その結果として党人事の決定が難航している。
以前のニュース(ベトナムのNo.2と3が任期に伴い交代、中国問題が影響か)でも報じているが、現地メディアからは、今月の初旬に国の2番目の責任者となるチュオン・タン・サン国家主席と、3番目となるグエン・タン・ズン首相が交代する方針が確定したことが報じられたが、その後も党内では議論が紛糾しており、当初予定から変更しズン首相が書記長に昇格するとの報道もなされていた。現時点では、当初の予定通りに国家主席と首相は交代する見込みだが、28日の正式発表までは予断が許されない状況である。
現地報道および党関係者によると、現在のズン首相は最高責任者となる書記長への意欲を見せていたが、中国政府への対応などを若手党員を中心とした強硬派から追及されていた。特に最近では中国政府からの支援を元として、両国の関係改善の動きが強まっているため、この対応は弱腰であると批判されている。一方で親中派からは、大国である中国と正面から事を構えるのは得策ではなく、落としどころを見つけての交渉をすべきであると意見が分かれており、両者の方針は容易にまとまらない状況である。
留任する予定である最高責任者のグエン・フー・チョン党書記長は、親中派であるとされているが、昨年はアメリカへの訪問を行うなどアメリカ寄りの立場も見せている。そのため、留任後は親中派と強硬派の間を取り持つことが期待されている。なお、同じ一党独裁の隣国のラオスでは、後任人事は荒れることがなく円満に決定しており、対照的な党大会となっている。
中国の外務省の報道官は22日の記者定例会見において、記者からベトナムの新しい指導部がアメリカ政府との関係強化を図ることを懸念するかとの質問に「中国政府はベトナム政府と従来から包括的なパートナーシップ関係を構築出来ている。良き隣人である両国は、現在の紛争を適切に解決し、共に明るい未来に向かっていけると考えている。」と、ベトナム政府の新しい指導部に親中メンバーが選ばれることを期待する旨の発言を行っている。