石油・天然ガス・鉱物資源の調査、探鉱、開発、生産、販売などを行う国際石油開発帝石株式会社(INPEX)がインドネシアで進めていた大規模海底ガス田の開発計画において、インドネシアのジョコ大統領はINPEX側が提案・申請していた洋上にプラントを建設する方針を認可せず、陸上のプラントを建設するように政府方針を決定したことをインドネシア政府は発表した。
INPEXでは、オランダのハーグに本拠を置き世界第2位の石油エネルギー企業であるロイヤル・ダッチ・シェル社と、インドネシア東部のマセラ鉱区からLNGを生産するプロジェクトを共同で実施している。このプロジェクトの権益の配分は、INPEXが65%、ロイヤル・ダッチ・シェルが35%となっている。両社は共同で開発するための案を策定し、洋上にプラントを建設する計画(総工費150億ドル以上)を政府に提出していた。この案に対してインドネシアのジョコ大統領は、地域経済への利益還元が考慮されていないため案を承認せず、陸上にプラントを建設するように通知する方針を決定した。
ジョコ大統領は、大規模な開発プロジェクトの際には、プロジェクトにおける単純な損益を考えるだけではなく、開発を行う地域における利益還元がなされることが必要だと考えている。特にインドネシアの貧しい地域において、新規雇用の創出を図り、関連産業の育成を図ることが必要であると考えている。そのため今回の開発プロジェクトにおいても、開発を行う企業のコストが増加したとしても、地域住民に利益を還元出来る陸上プラントによる開発が必須と判断し、両社に指示することを決定した。
今回の決定を受けて、地元メディアからも驚きの声が挙がっている。洋上ではなく陸上にプラントを建設する場合には、コストと期間が大幅に増加することとなり、両社の負担が増加するためである。特に現在では世界的にエネルギー価格が下落しているため、開発する企業において開発コストを抑制する事は必須となっていることからも、今回の方針は時代の流れに逆らっていると批判の声も挙がっている。