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中国政府の最高裁判所となる最高人民法院は、中国政府が司法管轄権を持つ海域においては多国籍の船舶を取り締まる事は合法であるとの司法判断を発表した。中国政府は南シナ海においては主権を持ち司法管轄権を有しているとの判断を下していることから、南シナ海に他国籍の船舶が許可無く侵入した場合には、中国政府は国内の司法判断を元として取り締まりを強化していく事となる。
中国政府がフィリピン政府やベトナム政府等と争っている南シナ海問題においては、オランダのハーグ仲裁裁判所が中国政府の主権を否定する判決をくだしていた。中国政府はこの判決は違法なものであり無効であるとの主張を繰り返していた。この自国の主張の正当性を強化し、南シナ海における取り締まり活動の正当性を確保するために、最高人民法院が独自の司法判断を下すこととなった。
この司法判断では、仲裁裁判所の判決には直接的には触れていないが、自国が司法管轄権を持つ地域においては、許可なく違法に操業する他国籍の船舶を取り締まる事を合法としている。当局からの警告に従わない船舶には強制的に立ち退きを行い、悪質な場合には禁固刑の行政処分を実施する事もあるとしている。
今回の司法判断を下したことにより、中国政府は南シナ海に許可無く侵入した外国人の拘束と行政処分を積極的に行っていくとみられている。この海域ではベトナムとフィリピンなどの多数の船舶が漁業を行っているため、これらの漁船などを今以上に拘束し、場合によっては禁固刑も科していく可能性もある。