AIIB発足、アジア地域への攻勢が始まり日本の影響力減少の恐れ

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中国政府が主導で立ち上げるアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、年内に設立を開始し、業務開始は2016年の第2四半期を予定していることを発表した。また、設立後の数年間の間は毎年100億ドル(約1兆2300億)から150億ドル(1兆8450億円)程度の融資を行う方針である。中国現地メディアの中国新聞紙などの数社が報じた。

AIIBにおける当初の運営通貨はアメリカの米ドルとするが、IMF(国際通貨基金)が人民元を国際通貨の一種「特別引き出し権(SDR)」に加えることとしたことに伴い、将来的には人民元での融資も行う方針である。特に中国政府としては人民元の国際化を進めていく方針であるため、人民元での融資も積極的に実施していくとみられている。

AIIBが設立した後には、アセアン各国を含むアジア地域への攻勢が始まる。従来のこれらの地域における融資は世界銀行(WORLD BANK)およびアジア開発銀行(ADB)が実施していたが、これらの銀行と正面からぶつかることとなり、融資合戦が避けられない状況となる。アジア開発銀行(ADB)の最大出資国は日本とアメリカであり、歴代の総裁は全て日本人が務めていることからも日本色は強く、ADBが融資する案件にはAIIBが横やりを入れてくる可能性が非常に強くなる。

アセアン各国におけるAIIB設立の影響を考察すると、国民一人当たりGDPが日本よりも高いシンガポールおよび産油国でもあるブルネイは、従来から海外の融資をあまり受けていないこともあり、AIIB設立による中国政府の影響力が強まる恐れはないとみられている。しかし、他の国においては中国政府の意向に反する行動を行った場合には、融資を受けられない可能性が強くなるため、中国政府の影響が高まることは必至となる。特にカンボジア政府は以前から中国政府からの融資を積極的にうけており、AIIBからの融資も積極的に受けることを表明している。また、ラオス政府もラオスと中国を結ぶ鉄道を共同で建設し、中国政府からの融資を受けることもあり、中国政府の影響力が更に強まるとみられている。

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