公益財団法人の宮城県国際化協会(MIA)は、【教育現場におけるイスラム圏児童・生徒の受入に関する事例集】を発表した。
宮城県国際化協会の見解によると、社会の多様化が進んでおり、宮城県の小中学校で学ぶイスラム圏出身の児童・生徒が増えてきているとしている。そのため、イスラム圏出身の児童・生徒に対し、受け入れる学校ではどのような配慮を必要としたのか、どのように対応をしたのかなど、様々な事例を紹介する事例集が作成されることとなった。なお、今回の事例集で取り上げた事例の多くは、パキスタン、アフガニスタン、インドネシア出身児童・生徒への対応事例であるとしている。
『お祈りについて』は、「空き教室や会議室をお祈りのスペースとして提供しました」「保護者から学校にいる間は特にお祈りはしなくていいということでしたので、学校でお祈りはしませんでした」との事例があった。
『食事について』は、「給食は牛乳だけ利用して、あとはお弁当を持参しています」との事例があった。また、修学旅行・宿泊研修の際の食事に関しては、「保護者と相談のうえ、ホテルが禁忌ではない食材を用意し、また児童が自宅から持参した鍋でホテルの調理担当者に調理してもらいました」「宿泊研修では事前に献立表を取り寄せて、食べられるものを確認しました」との事例があった。
『断食月(ラマダーン)』は、「別室に移動し、教員と会話したり、お祈りをしたりして過ごしていました」「断食期間中は午前中のみ授業を受け、早退しています」「断食期間中は体調に配慮して体育は見学するようにしています」との事例があった。
『制服、ヒジャブについて』は、「学校では男子生徒はブレザーとズボン、女子生徒はブレザーとスカートとしていますが、女子生徒の保護者からの申し出があり、ズボンを着用しています」「保護者によっては小学校の低学年からヒジャブを着用させることもあるようです」との事例があった。
『体育着、水着について』は、「男女とも半袖、半ズボンの体育着を着用し、体育に参加しています」「男女が同じプールに入ることについて保護者の理解が得られず、水泳の時間はすべて見学している女子児童がいます」「全身を隠せる水着を保護者が用意して、女子児童・生徒はそれを着用しています」との事例があった。
『学校行事』は、「当初、歌を歌ったりダンスをしたりすることに保護者から難色を示されていましたが、卒業式等で校歌を斉唱することについて保護者に説明をし、理解を得ることができました」との事例があった。
『授業、学習サポート、その他』は、「理科の学習時、生物や宇宙について説明をする際、宗教上の教えとは違うと主張する児童がいました」「断食月が明ける日は特別な日で休んでお祝いするようです。事前にその日がいつなのかを保護者と確認しておきました」との事例があった。