日本学術会議が提言、外国人生徒に特別入試、母語授業、特別枠の奨学金

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画像:日本学術会議が発表した資料より
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日本学術会議は、多文化共生の分野に対して、提言『外国人の子どもの教育を受ける権利と修学の保障―公立高校の「入口」から「出口」まで』を8月11日に発表している。この提言では、外国人生徒に対して大学・高校での特別入試、母語授業の開設、特別枠の奨学金の設置などを提言している。

『外国人の子どもの教育を受ける権利と修学の保障―公立高校の「入口」から「出口」まで』は、日本学術会議地域研究委員会多文化共生分科会の審議結果を取りまとめ、公表しているものである。この分科会の委員長は京都大学人文科学研究所教授、副委員長は神戸大学大学院国際文化学研究科教授、幹事は立教大学社会学部現代文化学科教授、立教大学社会学部社会学科教授、大阪大学大学院人間科学研究科教授、東京外国語大学名誉教授、日本学術振興会監事、名古屋外国語大学世界共生学部教授などが務めている。

この提言を作成した背景は、日本の在留外国人数は近年増加の一途を辿っているが、今後は外国人の定住が一段と進むことが予想されるが、外国人に関する施策については地域間格差が著しく国として明確な指針を示すことが求められるためである。今回の提言は、公立の高等学校に特化した上で、高校の「入口」から「出口」までの「外国人生徒」(外国につながりをもつ生徒。日本国籍を所持しているが、父母のいずれかが外国人である場合も含む)に関わる背景的事象と現在の課題を検証し、高校進学、修学、卒業後の進路保障に関する改善案を提言するものとなる。なお、外国人生徒に対する教育については、日本が批准している「児童(子ども)の権利に関する条約」「人種差別撤廃条約」などの国際条約においても、教育を平等に受ける権利が保障されていることは想起されるべきであるとしている。

現状及び問題点は、以下の点などを挙げている。
・外国人生徒の入学試験の特別枠・特別措置をめぐっては、都道府県間で大きな格差が生じており、実施高校の範囲は限定的であり、また選抜方法にも課題が残っている
・全生徒を対象とした多文化理解を主題とする教育の機会が少ない
・高校卒業後の進学率や就職率においても全国平均と外国人生徒の間で大きな格差が生じており、入試で外国人特別枠を設ける大学は少数である
・アイデンティティ育成や言語的多様性を保障するための母語の授業が少ない
・国内高等学校等出身の外国人学生を対象とする経済的支援制度の不足が、外国人生徒の大学進学率を低くしている一因となっている

提言は、以下のことなどを挙げている。
・より多くの大学における、外国人生徒対象の推薦入試、特別枠の実施
・全国的な公平性確保のため、全都道府県で外国人生徒のための高校入学試験における特別枠・特別措置の設置
・外国人生徒のアイデンティティを育成し、また言語的多様性を活かすため、外国語を母語とする生徒が多い学校における、コミュニケーション力・思考力向上のための母語授業の開設
・大学生等対象の奨学金における、「国内高等学校等出身外国人学生」(仮)特別枠等の設置
・外国人生徒が多い地域や高校における「多文化共生コーディネーター」「多文化共生担当教員」(仮称)の創設
・外国人生徒の学習の動機づけや学習意欲向上のため、また学校内における多様性確保のため、外国につながりをもつ人たちの学校内での配置
・教員免許取得のための必修教職科目に、多文化共生を主題とする科目追加
・とくに高校の管理職を対象とする、多文化共生に関する研修の義務化

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