ベトナムでは経済成長に伴い、個人・企業ともに排水量が増加しているが、これらの下水処理を行うには、既存の設備では処理しきれずに、早急に下水インフラの整備を実施する必要に迫られていた。そのため日本政府は、ベトナム中部の主要都市のひとつであるフエ市向けに、円借款事業「フエ市水環境改善事業」として下水インフラ整備の支援を実施している。日本の水処理大手の水ing(スイング)株式会社は、この下水道施設整備に関する建設工事を受注し、6月19日に請負契約に調印したことを発表した。
水ing株式会社は、三菱商事株式会社、日揮株式会社、株式会社荏原製作所が出資している会社である。この会社は1990年代に既にベトナムに進出しており、首都ハノイ市やホーチミン市などの大都市を中心として上下水道施設整備案件を多数受注・納入しており、今回の契約で14箇所目となる。今回の契約内容は、下水処理場やポンプ場の設計・建設のみならず、設備納入後の維持管理・保守業務も含んでおり、約70億円の受注額となった。
水ing株式会社は、ベトナムでは今後もJICAの様々なスキームを使った下水道整備事業計画が見込まれており、今後も海外戦略上の重要地域として、引き続き積極的に同国水ビジネスに取組んでいく方針であることを表明している。
【事業概要】
事業名:フエ市水環境改善事業 下水処理設備整備事業
建設場所:ベトナム社会主義共和国フエ省フエ市
事業目的:生活排水、公共施設からの排水増量による近年の水質汚濁と度重なる浸水被害を改善するために下水道整備が計画され、本プロジェクトが実施されることとなった。
発注者:フエ都市環境公共事業公社
受注形態:水ing(株)とHanshin Engineering & Construction Co., Ltd. (韓国の建設会社) のコンソーシアム
水ing社所掌範囲:下水処理場 (処理水量30,000m3/日)、中継ポンプ場 (6カ所) 、圧送ポンプ場(1カ所) の機械・電気設備の設計・調達・据付工事。設備納入後の維持管理・保守業務。
工事期間 2015年9月から2018年完工予定