日本の独立行政法人である国際協力機構(JICA)は、カンボジアにおける病院の施設及び医療器材の整備を対象とした21億5,300万円を限度とする無償資金協力を実施することを発表した。
カンボジアにおける公的保健医療サービスの提供体制は、内戦後の20年前と比較し質・量ともに改善し、首都プノンペンを中心に基本的保健医療サービスの提供体制が整いつつあり、国全体の保健指標は改善している。しかしプノンペンと地方の格差が大きく、地方における保健医療サービスの改善が課題となっていた。シェムリアップ州病院は、同州及び周辺 6 州から患者が集まるカンボジア北部の拠点病院であり、特に交通外傷に起因した患者が集中しているが、施設の老朽化や機材不足により医療ニーズに対応できておらず、下位病院で対応すべき患者まで州病院を受診し、患者集中を引き起こしていた。そのため、この問題を解決するための支援が実施されることとなった。
今回実施される支援は、「シェムリアップ州病院改善計画」として、69ヵ月にわたって実施される予定である。21億5,300万円を限度とする無償資金協力となる。この支援を実施することにより、シェムリアップ州病院及び同州の下位病院(4病院)の施設、医療機材を整備することにより、近隣州を含む当該地域の保健システムを強化するものとなる。
対象地域・施設は、シェムリアップ州病院、シェムリアップ州下位病院 (4 郡病院)となる。具体的に実施する予定である事業内容は「施設整備/機材調達」と「コンサルティング・サービス」である。「施設整備/機材調達」では、シェムリアップ州病院における新棟建設(外来・救急・外科・手術 部門等計 212 床)、州病院及び下位病院(4 病院)に対し、一般 X 線撮影装置、超音波診断装置、手術台等の医療機材の調達を行う。「コンサルティング・サービス」では、詳細設計、入札補助、施工監理、(ソフトコンポ—ネントとして)医療機材の利用法および維持管理の研修などを行う。