スリランカのラニル・ウィクラマシンハ首相は、中国の『一帯一路構想』は軍事的な意味はなく経済的な意味を持っているものと認識しており、現状の経済危機に関して、日本だけでなく中国からのさらなる支援を求めていく見解であることを明らかにした。
スリランカでは、近代における過去最悪の金融危機に直面しており、4月12日にデフォルト(債務不履行)状態になったことを発表した。深刻な外国為替不足により、食料、燃料、肥料、医薬品などの重要な輸入品の支払いが困難な状況となっている。
そのため、海外政府も各種支援を実施しており、日本政府は300万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定していた。ウィクラマシンハ首相は、日本からの支援には感謝の意を述べるとともに、さらなる支援を要請していた。
インドメディアからの取材に対して、ウィクラマシンハ首相は、インド政府からの支援に感謝の意を述べた。その後に、中国への見解を問われた際に、首相は「中国に関して言えば、中国は我々と友好的です。中国との歴史も数千年前にさかのぼります。仏教を中国に送ると、私たちもそれに従って中国に行くことになりました。インドがすべてを始めたのです。しかし、インドの場合は、すでに地域の一角にいるわけです。私はもっと身近で、チェンナイやケーララには問題なく溶け込めるし、同じように南の人たちはこちらに溶け込めるでしょう。中国は友人であり、日本は友人です。しかし、インドとスリランカには利害関係があります。なぜなら、私たちはイギリスの支配下にあったからです。私たちは英国の統治システムを持っていました。インド洋は大国間の競争から解放されるべきであると、私たちはともに考えています。しかし、私たちは中国と長い付き合いをしてきました。日本とも長い付き合いです。そして、中国は今、『一帯一路構想』を実行しています。『一帯一路構想』は、私たちの観点からすると、軍事的な意味はなく、経済的な意味を持っているのです。ですから、経済的な側面を見て、中国が我々を助けたのか、そうでないのか、判断することができます」との旨の見解を示した。
なお、スリランカでは、南部のハンバントタ港はローンの返済が滞ったことを理由として、運営権が99年間にわたって中国側に譲渡される、債務のわなと呼ばれている状況が発生している。